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9話 ページ10

それから私とレオは一度教室を出て、
他のみんなは授業を受けることになった。


故意でサボるなんて、初めてかも。
不安と興奮のドキドキでいっぱいの中、レオはずっと口を閉ざしたままだった。


いつも賑やかに騒いで、高らかに笑っているレオのことだから、余計怖く感じる。


レオに手を引かれて廊下を歩いていると、無駄に広い夢ノ咲に腐るほどある空き教室に着いた。


『……レオ?ここで話すの?』


返事が返ってくるかもわからないけど、念の為彼の顔を覗き込んで尋ねてみると、


レ「……ああ。ここなら平気かもな。」


長い前髪で表情を隠して、感情のこもってない声で真意を隠して。
今のレオは、私には理解できないレオだ。







何を考えているのか、まったく分からない。







戸惑っているうちにレオは私の手を引いて歩き、気がついたら私は空き教室に入っていた。






『……それで、レオ、あの……。』



レ「うん。ちゃんと分かってるってば。
とりあえず、おれが分かることを教えるから」



『……うん。教えて、レオ。』



レ「まず、セナはAのみを完全に忘れてる。
ここまではAも何となく分かってただろ?」



『まぁ、ね。あの対応だもん……。』





あの凍りつくような視線。
警戒心を隠しもせずに、睨みつけてる様な。





……まるで、初めて会った時みたいな。





私はそれを無意識に呟いていたみたいで、
レオがふっと息を零して私の頬に触れた。


レ「……A、泣かないで?おれも辛くなるから。大丈夫だ。きっとセナは……思い出すから。」


そう言ったレオの声は、少し掠れていて。

気がつくと私の頬には、
生暖かい水がつたっていた。


少し切なげなレオの瞳に囚われて、
その優しげに揺れる翡翠色に、
 泣いてもいいよ って言われているみたいで。





『っう、ぁ、れおぉ……っ』




ちょっとびっくりした顔のレオに近づいて、
背中に腕を回して制服を引っ掴んで、
彼のパーカーに顔を埋めて泣いてしまった。

服から伝わる体温と安心するレオの匂い。







嗚呼、どうして私は、
瀬名泉を好きになってしまったんだろう。

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設定タグ:瀬名泉 , 月永レオ , あんスタ   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - かすみさん» 読んでいただきありがとうございます!名前を変えるというのは、名字の変更が自由にできるようにするという解釈で大丈夫ですか?なるべく読者様が読みやすいようにしていくつもりなので、誤字脱字その他諸々、何でも言って下さい!コメントありがとうございます。 (2020年6月4日 17時) (レス) id: f38551527f (このIDを非表示/違反報告)
かすみ(プロフ) - こんにちは!瀬名推しで楽しく読ませてもらってます(^^)お願いなのですが、名前の変更が出来るようにしてもらえると嬉しいです(*_*)今後の更新も楽しみにしてます! (2020年6月4日 14時) (レス) id: 46b3b2d0d8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年5月18日 14時

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