7話 ページ8
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治療室を出てから高専内に自室がない私は行く宛てもなく、再び学長室に居座っていた。
夜蛾「なんだ、喧嘩でもしたのか」
『元々喧嘩してたようなものじゃないですか』
夜蛾「お前が発端だけどな」
この人とは付き合いが長く、2人きりとなると気が緩む。
それは私だけではなく、この人も同じだろう。
『先生、私海外戻っていいですか?』
夜蛾「駄目だ。あと、先生じゃなくて学長だ」
『そうだそうだ。出世したんでしたね』
私が嫌味ったらしく言うと、問答無用で可愛くない人形を投げてきた。危ない。
『私は五条に優しくないです』
学長室のソファに背をもたれて、足を組みながら学長に視線を向けず話しかける。
かくいう学長も私に視線は向けていない。
『あいつが欲しい言葉は私が1番知ってる。でも、それをくれてやるほど私は優しくない。』
いや、優しくないとかいう問題ではない。
私にその余裕というものが無いのだ。
夜蛾「あいつが欲しがってる言葉とはなんだ」
学長は黙々と可愛くない人形を作りながら問いただす。
『お前のそばにずっといるよ、絶対に』
あいつはこれ以上仲間を失うのを恐れている。
何よりも親友であった自分が、傑の変化に気づくことが出来なかった。それを今でも消化できてないであろう。
そんな時に私は彼の前から消えた。
私はとことん彼に優しくないのだ。
『優しいってのは、何してあげれば喜ぶか分かってる奴が相手にしてやることでしょ?そもそもあいつに何言えば嬉しいとか、私が1番知ってる。それをあえて言わないんだから、とんでもなく優しくないんですよ』
夜蛾「質問を変えよう。なぜお前は五条に優しくない」
『呪いだからでしょ。あいつに今度こそ自分の前から離れない存在を作った場合、それは呪いとなり得る』
この界隈にいる時点で明日を約束するなんてことは出来ない。
でも最強である彼ならどうだろう。この界隈で死ぬ確率は単純に考えれば1番低いと言える。
そんな奴と明日を約束するなんて、そんなの武器を持たず戦場に出るようなくらい無責任だ。
『今度こそ自分の前から大切な存在が消えたら、あいつ……壊れますよ』
五条にとって私と硝子は大切な存在である。
そんなのあいつ本人に聞かなくとも今までの時間が語っている。
だから、私はあいつに優しくできない。
それはあいつのためであり、私のためである。
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ひながき(プロフ) - しおりさん» 𝑶𝑴𝑮(゜д゜)、教えていただいてありがとうございます!! (2022年2月7日 1時) (レス) id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 悠仁の漢字間違ってます! (2022年2月6日 23時) (レス) @page23 id: 2479e15f01 (このIDを非表示/違反報告)
ひながき(プロフ) - プスメラウィッチさん» 五条オチです!!今後もお楽しみください!! (2022年2月6日 2時) (レス) id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
ひながき(プロフ) - 15さん» ありがとうございます!!ゆっくりですが、しっかり更新していきます!! (2022年2月6日 2時) (レス) id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - ひながきさん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張ってください。応援しています(*^^*)楽しみにしています。 (2022年2月5日 21時) (レス) @page25 id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひながき | 作成日時:2022年1月9日 22時