6話 ページ7
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『まあ、私の中で色々あってさ。とにかくここから離れたくなって、海外任務に行かせてもらったってわけ』
五条「全く説明になってない。なんでそんなことしたのか聞いてんだよ」
『野暮じゃない?』
私は視線を落としたまま低い声で彼に言う。
家入「お前、そんな女々しい奴じゃなかったじゃん」
『自分でもそう思ってたよ。でも、思ったよりアイツのことが好きだったんだろうね。あの日から何も手につかなかった。何も考えられなかった』
傑が死んだ日、私は部屋にこもっていた。
泣いていたんだっけ、それとも虚無感に襲われてぼーっとしていたんだっけ。
それすら覚えていないくらい頭の中が真っ白になった。
五条「だからってなんで僕達に言わなかったんだよ」
『言ったら止めるでしょ』
家入「そんなの言ってみなきゃ分かんないだろ」
『硝子は止めなかっただろうね。でも、あんたは確実に私を行かせてくれなかったよ』
私は隣に座る五条に視線を向けた。いつの間にか外された目隠しは机の上に置いてある。久しぶりに見た彼の目を見て言った。
『あんたは弱いから』
私が冷たい声でそう言うと、彼は目を見開くと同時に私に掴みかかろうとしてきた。
それを硝子が必死に止める。私はそれに加担せずに、彼の眼を見続ける。
五条「弱いのはお前だろッ、傑がいなくなって逃げ出したお前の方が弱い!」
硝子の力が彼に勝る事は当然なく、自由になった彼は私の胸ぐらを躊躇なく掴む。
五条「俺と硝子は逃げなかった!現実と向き合った!逃げたのは、弱いのはお前だろ!なのによく俺に弱いだなんて言えたなッ!」
私は彼から目を逸らさず彼の言葉を全身で受け止めた。
ただ、私は彼に優しくないから、彼が欲しい言葉を与えてやれない。
訴える彼の言葉には一切触れず、目を細めて言った。
『俺、じゃなくて、僕、でしょ?』
五条「ッ!!!もういい、海外にでもどこにでも行け」
治療室には彼によってバンっと乱雑に閉められたドアの音だけが響き渡った。
私はただ、彼が出ていった方向を見つめるだけだった。
その空気に痺れを切らした硝子が哀しそうな顔をしながら私に言う。
家入「お前は五条に優しくないな」
『ほんと、優しくないよね』
それ以上会話は続くことなく、私は治療室を後にした。
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ひながき(プロフ) - しおりさん» 𝑶𝑴𝑮(゜д゜)、教えていただいてありがとうございます!! (2022年2月7日 1時) (レス) id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 悠仁の漢字間違ってます! (2022年2月6日 23時) (レス) @page23 id: 2479e15f01 (このIDを非表示/違反報告)
ひながき(プロフ) - プスメラウィッチさん» 五条オチです!!今後もお楽しみください!! (2022年2月6日 2時) (レス) id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
ひながき(プロフ) - 15さん» ありがとうございます!!ゆっくりですが、しっかり更新していきます!! (2022年2月6日 2時) (レス) id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - ひながきさん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張ってください。応援しています(*^^*)楽しみにしています。 (2022年2月5日 21時) (レス) @page25 id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひながき | 作成日時:2022年1月9日 22時