13話 ページ14
伊地知side
本来五条さんを乗せているはずの後部座席には1年前、いや、百鬼夜行以来、姿を消したかつての先輩がいる。
泡瀬Aさん、五条さんの同期だ。
彼女は呪詛師となった夏油傑の元恋人であり、数少ない特級呪術師である。
姿を消したあの日から、多少の伸びた髪を彼女はクルクルと手で遊んでいた。
『伊地知って私のこと嫌い?』
目的地まで車を走らせていると、藪から棒に聞かれた妙な質問にまた焦り出す。
伊地知「き、嫌いなんてそんなわけっ!」
『じゃあ好き?』
伊地知「す、す、好きっ!?!?」
何を言ってるんだこの人は。そう、五条さんの同期なだけあってとにかく掴めない人でもあった。
現に聞いたところでなんだという質問を愉しそうに聞いてくるあたり、五条さんそっくりである。
『今失礼なこと考えただろ』
伊地知「ま、まさかっ!そんなことないですっ!」
『ははっ、分かりやすいね伊地知は』
と、私の様子を見て笑った彼女は私で遊ぶことに飽きたのか次はスマホの画面を眺めていた。
良かった、好きか嫌いかとかの質問を掘られなくて。
それからも何を聞かれるか身構えながら車を走らせた。
____
伊地知「着きました、ここです」
『ほぉ、いかにもいますって感じのビルだ』
伊地知「数は少ないとの報告でしたので」
『了解、そんじゃよろしく』
伊地知「はい、では帳を下ろします。闇より出でて闇より黒く、その汚れを禊ぎ祓え」
私が帳を下ろす仕草を目端で確認した彼女は闇の中へと姿を消して行った。
______
数十分経っただろうか、帳が消え中から少し機嫌の悪い彼女が出てきた。
どうしよう、絶対に機嫌悪い。あれ、泡瀬さんのご機嫌取りってどうすればいいんだっけ。
久々に彼女の対応に追われる私は過去の出来事を振り返る。
『あ゛〜、疲れた。伊地知、車出して』
伊地知「は、はいっ!!」
私に対してはそこまで機嫌の悪さは出さなかったので内心ほっとする。
伊地知「真っ直ぐ高専に戻りましょうか?」
『あー、うん。そうして』
伊地知「了解です」
『あのさ伊地知』
伊地知「何でしょう?」
『上からの報告じゃ数は少ないって言ってたんだよね?』
伊地知「はい、そのような報告でした」
『ふーん』
えっ!?ふーんって何。もしかして報告間違ってた?
それから何も言わない彼女に若干ビビりつつも、しっかりと彼女を高専に送り届けた。
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ひながき(プロフ) - しおりさん» 𝑶𝑴𝑮(゜д゜)、教えていただいてありがとうございます!! (2022年2月7日 1時) (レス) id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 悠仁の漢字間違ってます! (2022年2月6日 23時) (レス) @page23 id: 2479e15f01 (このIDを非表示/違反報告)
ひながき(プロフ) - プスメラウィッチさん» 五条オチです!!今後もお楽しみください!! (2022年2月6日 2時) (レス) id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
ひながき(プロフ) - 15さん» ありがとうございます!!ゆっくりですが、しっかり更新していきます!! (2022年2月6日 2時) (レス) id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - ひながきさん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張ってください。応援しています(*^^*)楽しみにしています。 (2022年2月5日 21時) (レス) @page25 id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひながき | 作成日時:2022年1月9日 22時