17．提案 〜YUZIRO Side〜 ページ23
「ほんっっとうにすみません！！僕のミスです！！！」
慌ただしい楽屋の中。顔を真っ青にしながら、首が折れてしまうのではないかと思うほどペコペコ頭を下げている男の謝罪を聞いて、正直、ふざけるなと口にしてしまいそうになった。
夏季休暇に合わせて調整されたLip×Lip SUMMER LIVEは、毎年多くのジュリエッタが観に来てくれる大事なイベントだ。誰もが一度は耳にしたことがある有名な会場をわざわざ借りて行うのも相まって、絶対に成功させるべきライブの一つであった。
「まぁ…失敗は誰にでもありますよ！」
「僕も愛蔵と同じ考えです。何か解決策を考えましょう！」
スタッフ達のおかげでライブが出来るのは分かっているし、感謝している。だけど…
(ほんと、こんなビッグイベントの時に何してくれるの)
口元には笑みを浮かべているも、脳内は罵詈雑言が飛び交っている。隣の愛蔵も「ミスすんなよ」的な顔を隠していた。こういう所は似ているのかもしれない。
と、「Lip×Lipは良い子達だねぇ〜！！」と涙を拭いているスタッフ…加藤さんの横にいる人に驚いた。
(なんでAがここに？)
スタッフのアルバイトでもしていたのかと首元に目をやるが、スタッフパスはかけていない。
僕はつい彼女に話しかけた。
「ねえ、君もスタッフなの？」
Aの肩がびくっと揺れた。瞳には困惑の色が。
「……スタッフじゃないんだけど…この方に連れてこられて」
(やっぱり…)
「ええ！？…ほんとだ、パスかけてない！ごめんねぇぇぇ！無理やり連れてきてっ！」とAの手を握った加藤さん。
それを見たとき、僕の中で何かがプツリと切れた。
加藤さんを押しのけ、不思議そうに目を瞬きさせる彼女の手を取る。
「A、ライブの演奏をしてくれない？」
「えっ」
「実はさ、演奏するはずだった楽器がこの会場に届いてなくて。内田さんにさっき聞いたら、ピアノなら置いてあるって言われたんだ」
Aが会場にいたら頼めたのになぁ…と考えていたら、まさか本当に(加藤さんの間違いで)いるとは思いもしなかった。
僕が思いついた唯一の案。
それは、人の心に響く演奏をするAに伴奏してもらって、ライブを成功させることだった。
「私が………ピアノを？」
「お願い。君に、ピアノを弾いてほしい」
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ほたる(プロフ) - 奈津さん» ありがとうございます！出来上がり次第、更新します！ (9月20日 6時) (
レス) id: 858ad6cafb (このIDを非表示/違反報告)
奈津(プロフ) - めちゃくちゃ好きです、更新楽しみに待ってます！！ (9月19日 22時) (レス) @page4 id: 1b362c8584 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほたる | 作成日時：2023年8月22日 17時
