♡ ページ17
付き合ってない男女でも目にすればコロッと恋に落ちる威力を持つ
「あ、Aおはよう」
「お、はよう」
変装道具、伊達眼鏡にベレー帽は変わらない。けれど綺麗めなコートに身を包んだ彼はさすが現役アイドルというか何と言うか。
私だって待ち合わせ5分前には着くように来たものの、先に彼が待っていてくれたことが嬉しくて。眼鏡越しの妖艶な瞳に釘付けになったのを隠すように「く…来るの早いね？」と口にする。
「まぁ、Aが約束通り来るか不安だったから」
「そんなに信用ない？」
「ふふ、嘘だよ。デートで男が先に来た方が良いってAが言ったんでしょ」
「そんなこと言ってないよ私！？」
染谷くんは軽く笑って「中学生の時言ってたよ」と言いながら私の手に触れる。
「染谷くん！？なにして＿」
「え？手を繋いだだけだけど」
「む、無理っ！！私たち付き合ってないもん！！」
辺り一面、青。
(わっ、めっちゃ綺麗……)
ガラス張りの境界線、光が反射していて泳いでいる生物たちを照らしている。イルカにクラゲに、ペンギンに…。
この水族館は、市で人気な水族館の１つだからやっぱり今日は人で賑わっていた。
室内の電気は極力控えめにされコバルトブルーがより映えている光景は、あまり水族館に足を運ばない人でも惹かれるものがある。
「…すごいね染谷くん。キラキラしてて……ちょっと私の語彙力じゃ言い表せないくらい綺麗！」
気持ち小さめに話す。でも興奮していて声の大きさは変わってないかもしれない。
「そうだね。光の入れ方がお洒落」
彼の相槌が幼い子供にするみたいに優しかったから、少し恥ずかしい。
「A、ジュゴンがいるよ」
「どこどこっ！？」
「そこ」
染谷くんが指差した方向まで近寄ると、丁度手をひらひらさせながら泳いでいる。
「わー！ほんと…＿」
「っ…」
その瞬間。鼻先がくっつきそうなくらい、端正な顔が近くにあった。彼も驚きからか目を大きく見開いていて。
そんな表情を見せられたら、顔に熱が集まってしまう。慌てて距離を取ろうと動かした足は、ぐらついて、
「＿っと。…いきなり動いたら危ないでしょ。慣れないお洒落までしてきてくれたんだから」
「なっ………！」
「……なに。僕が気づいてないとでも思ったの？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 33人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ほたる(プロフ) - 奈津さん» ありがとうございます！出来上がり次第、更新します！ (9月20日 6時) (
レス) id: 858ad6cafb (このIDを非表示/違反報告)
奈津(プロフ) - めちゃくちゃ好きです、更新楽しみに待ってます！！ (9月19日 22時) (レス) @page4 id: 1b362c8584 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ほたる | 作成日時：2023年8月22日 17時
