アヒルの涙 (ページ22)

今日:17 hit、昨日:4 hit、合計:47,115 hit

初めて尽くしページ22

～貴方・side～

そのままベッドに連れてかれて、またキスを繰り返す。
ニカちゃんの手が今度は洋服の中に入ってきて、素肌に触れた。
私が硬直したからなのか、一瞬動きが止まる。

ニ「…何かさ、初めてのキスなのに、そのままこんなことになって…嫌じゃない？」

「…」

何と返して良いかわからず黙ってると、ニカちゃんの顔がふと曇った。

ニ「あ…もしかして、初めてじゃない…？」

「え…」

いや、この前のノーカウントにしたキスが初めてって言ったじゃん。
なのに、その先は経験済みかもとか一瞬でも考えたの？

「…初めてだよ…。彼氏も、キスも、その先も、ニカちゃんが初めて」

「…ニカちゃんだって、初めてでしょ？」

ニ「彼女いたことはあるよ？」

「うん…でも、コレは初めてでしょ？」

ニ「…うん。初めて…。
だから、全然余裕ない。何かあったら、言ってね」

「…うん」

初めてのくせに。

余裕無いって言ったくせに。

意外と、いろんな事スムーズににしてきて、私の事を翻弄する。
余裕が無いのは、私ばっかり。

経験済みの友達の話で多少の知識はあったけど、やっぱり聞くだけと現実は全然違う。

全てが終わって、ニカちゃんの熱い体が覆い被さってきた。
熱くなった体と、乱れる呼吸で…

やっぱり、ニカちゃんも余裕なんて無かったんだね。
そう思えて嬉しくなった。

私はと言うと、訳のわからない世界でされるがままだった。
力も抜けて、動きたくなくて、寝たまま。

ニカちゃんが私の上からどいて、横に寝そべった。

ニ「はぁ…大丈夫？体しんどくない？」

「…うん…でも、まだ動きたくない…」

ニ「…俺も。…腕枕とか、してもいい？」

ニカちゃんがそっと腕伸ばしてきた。

「お邪魔します…」

おそるおそる腕を拝借すると、グイっと引き寄せられた。

ニ「A、好きだよ…」

「…私も。ニカちゃんのことが好き」

吸い込まれるみたいに、眠ってしまった。