アヒルの涙 (ページ3)

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不器用MAX ページ3

昨日の饒舌さは何処へ行ってしまったのか、Aはひたすらご飯食べててしゃべらない。

そのギャップが不思議で、俺はついつい見つめてしまった。

「…ねぇ、今日は元気ないの？」

あ「え？何で？」

「昨日めっちゃしゃべってたのに、今日何にも話さないから。」

あ「…別に。話したことない人と、何しゃべっていいか分からないだけ」

…え？

何なの、いきなりそのよそよそしい態度。

昨日の子とは別人？

だんだん腹が立ってきて、俺も単純だし子供だから感情を表に出してしまう。

「…じゃあ、初対面の男のノート強奪すんなよ…」

あ「…だって…」

「何？」

あ「やっぱ返す」

Aは箸を置いて、俺のノートを鞄から出して突き返してきた。

「は？もういいわけ？ちゃんと写したりした？」

あ「まだだけど、迷惑かけたみたいだから」

「あっそ」

もー何でこうなっちゃうんだろ。女の子との距離の詰め方忘れちゃった。

ただの友達なら、すんなり打ち解けるのに。

１度ときめいた相手には変に意識しちゃって、目は見れないし口調もきつくなってしまう。

『お前、ホント不器用すぎ。そんなんじゃ女の子嫌われてるって思って近寄ってこなくなるよ』

ミツの言葉が過る。

まさしく今がそう。Aもブスっとしちゃって、沈黙。

あ「ごめん。行くね」

いたたまれなくなったのか、Aは席を立とうとした。

「えっ！あ、待って！」

本日２度目の腕ガシ。
Aも目をパチクリしてる。

あ「…何？」

「LINE、教えて」

Aが目を丸くしたけど、優しく笑った。

その顔に、俺は本格的に堕ちてしまったんだ。