アヒルの涙 (ページ17)

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ベタな展開ページ17

クリスマスイブって、何で日本はカップルで過ごさないと負け組みたいな風潮があるんだろ。
こんな時、親元離れて暮らしてて良かったなと思ってしまう。

『あんた、クリスマスなのに予定無いの？』

心ない遠慮ない親の言葉って、結構グサッとくるんだよなぁ。

こんな予定の無いクリスマスは、バイトでもしてやり過ごすに限る。シフト入りたくない人も多いから重宝されるんだ。

今まで発表の機会無かったけど、俺のバイト先はカラオケ。ヤケクソで夜から明け方まで、目一杯働くことにした。
お陰で、店長からは有り難がられたけどバイト仲間からは哀れみの目で見られた。

大学に少し寄って、冬休みに入る前に必要な本や資料探してると、ふと足が止まる。

Aがいる。

上の棚にある本が取れずに頑張って背伸びしてる。
届いてない…こんなベタなこと、現実にあるんだな。びっくりするわ。

でも、こんなチャンス無い。
また、距離を近づけたい。そう思って、スッと横に行った。

あ「あ…」

「コレ？取りたい本」

あ「…ありがと」

「久しぶりだね。元気だった？」

あ「うん。ニカちゃんは？」

「俺は、まぁぼちぼち」

あ「何か調べもの？」

「うん…冬休み中かの課題。情報処理学のレポート作んなきゃでさ」

あ「うわ、あの講義取ってるんだ。友達が取ってる子いてさ、半端なく課題多いしめんどくさいって言ってた」

「そうそう。でも、俺の学部ではあれ必須なんだよね～」

思ったよりスムーズに話ができてる。
ちらっと時計を見ると、４時。まだ、俺はバイトまで時間がある。

「…ちょっと、時間無い？今から。予定ある？」

少し驚いた顔でAは俺を見たけど、にっこり笑ってくれた。

あ「バイトあるから、少しだけどいい？」

「バイト、なんだ(笑)」

あ「そーだよ、どうせバイトだよ」

「…俺も。バイトだよ、夜は」

あ「寂しいね、私たち。どっか、お茶でもしに行こうか？」

必要な資料を協力して集めて、校内にあるカフェテラスへ向かった。