アンジュ・エ・デモン

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前髪、よし



化粧直しよし



巻き髪も取れて無い



久しぶりに女子力全開。






いつも通りカフェの行列に並びながら、ニヤニヤが抑えられ無い。






「どうしたの？怖いよ」


「ふふふ……百合、やっと二人きりになれましたね」


「…待って。本気で怖い」







だって、ランチ中は他の同期もいるから藤井さんの話出来ないんだもん。

みんなもカッコいいって言ってるから、抜け駆けみたいに思われたくなくて、昨日の話をするのずっと我慢してた。







「いや、違うの！

私ね、なんと…デビューしたの！！」



「何に？素人モノ？」



「違うっ！そんないかがわしいのじゃなくて！





昨日スーパーで買い物してたらさぁ…」






百合に昨日藤井さんと偶然会った事を話す。




しかも、話しかけてくれたのは藤井さんで、いつもカフェモカ買いに行く事も知ってくれてたって事も。







いつも冷静な百合がみるみる内に食いついてきて、最後の方は私より大興奮。








「ええぇーーー！！！凄いじゃんんんっっ！良かったね、毎日通ってる甲斐あった！」



「そうなの！もうね、今年の運勢全部使っちゃったのかな？ってくらい！」






友達なら、これくらい一緒に喜んでくれるはず。




だから、やっぱり重岡くんは同期なだけで友達じゃないんだ。



しかも、弱身を握られて完全に主従関係がある。








「あっちから話しかけてくれるってことはさ、もしかしてイケるんじゃないの？」



「えー、偶然だよそんなの…

あ、どうしよう順番来るっ！ドキドキするー！」








側から見たらバカだなって思うくらいの浮かれポンチ。



私の注文する番が来て、見上げると藤井さんは昨日の昼までとは確実に違う笑顔を見せてくれた。







「こんにちは。今日も来てくれたんですね」



「はい！えっと、カフェモカのM１つください」



「はい。そういえば、昨日はブランドでしたよね。珍しいなって思ったんです」



「そんな事まで覚えてくれてたんですか…？」



「当然ですよ。じゃ、少々お待ちくださいね」








後ろでやり取りを見ていた百合も驚いた顔をしてる。







みなさん、私、藤井さんの世界にデビューしました！！！

お先に失礼しまーす♡

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