lucky color

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落とした靴を北山くんが拾ってくれて、差し出してくれた。



北山「ん。だから、靴紐で悩むんなら赤にしとけって」



「えー…うん、可愛いけど、他のも…」




北山「いいじゃん、赤で」




「何でそんなに赤推すの？」



北山「俺の、ラッキーカラーだから。

大事な時に使うのは、赤っ！」



最高にドヤってる彼。いやいや、私の靴紐と北山くんのラッキーカラー関係無いんですけど(笑)。



「…赤ねぇ…」




北山「高橋、今日は一人？」




「え？うん」




北山「そっか。…それ、ちょっと貸して」




私の手から赤の靴紐を取ると、颯爽とお会計済ませて、商品の袋を差し出してきた。




北山「はい！これで、文句ないよな？プレゼント」




びっくりし過ぎて思わず素直に受けとる。
満足気に笑う北山くんと袋を交互に見て立ち尽くすけど、我に返って袋を突き返す。




「いやいやいや、ダメだって。貰う理由無いし…」




北山「えー…でも、返品できねーもん。ほら？」




指差す先には『セール品のため、返品不可』と書かれたPOP。




北山「俺が持ってても仕方がないじゃん。もらってよ」




「…うん、ありがと」




北山「どーいたしまして。なぁ、一人なら俺の買い物付き合ってよ」




「いいよ、何買うの？」




北山「食器とかー寝具とかー小物系？最近立て続けに壊れたり破れたりで」




こういうショッピングモールを女友達でも、家族でも、彼氏でも無い人と回るの初めて。
夏に彼氏と別れて以来、モールは一人が基本だったから、久しぶりに誰かと一緒なのが楽しくなってしまう。




自分が使う訳じゃないのに、お皿やカップ見ながら、使い勝手とか、重さとか、つい一生懸命選んでしまう。



そんな私をどう思ってるのか分からないけど、北山くんは横で優しく見守ってくれてる。




さっきそれに気づいてしまって、どうしていいか分からなくなって、せっかく解けてきた緊張がまた復活してきた。




だから、ますます饒舌になったり、自分が使う事はない寝具も真剣に選んだり。




気づいたら、北山くんの両手は大荷物で塞がれてた。




北山「高橋さぁ〜どんだけ買うわけ？つーか、俺一人暮らしだかんね？

こんなに皿もカップも使いこなせないからお前責任取れよ」




半分笑って、半分呆れてて、でも笑顔で楽しそう。




「いいじゃん！将来の彼女と使ってよ」




自分で言って、少しだけ胸がチクってした。

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