彼女の気持ち Ki ページ30
〜Ki・side〜
角を曲がる時、ふと振り返ってみた。Aちゃんの姿は無い。
…さっき、家に誘いかけてくれたよな?多分…。
ダメでしょ。普通に。
さすがにそれは、俺の事買いかぶり過ぎ…。
頼むからもう少し警戒してよ。
家なんか入ったら理性きかなくなりそうだから、普通だったら後回しにする二階堂のLINEもご丁寧に応じてた。
プリプリ怒りながら帰ったAちゃんを思い出すと、またニヤニヤしちゃうんですけど。
付き合ってた期間は短いけど、その分ほぼ毎日一緒にいたから分かる。
彼女の気持ちは、まだ絶対俺のもの!
だから、この友達以上恋人未満みたいな距離をしばらく楽しむことにしよ。
女の子、この距離感大好きだよね?
手が出せないのはちょっと辛いけど。また、我慢大会だけど。どんだけ大会期間長いんだか。
軽い足取りで、二階堂と待ち合わせした店へ向かった。
ーーーーー
ニ「ミツー!こっちー」
「よ。お待たせ。平日に声かけて来んの珍しいな」
ニ「んふふ、偶然会ったんだよねー…今トイレ行ってるけど」
「ん?誰に?」
トイレの方を見ると、これまた懐かしい!玉森!
「うわ、玉森じゃん!!久しぶりー」
玉「いやー今日も疲れた疲れた」
ニ「たまたま昼間に渋谷で会ったんだよね。玉、雑誌のカメラマンしてんだもん。マジビックリしたー」
玉「アシスタントだけどねー。ニカちゃんに見られたときはテスト中だっただけ」
「気難しい先生とは上手くやってんだ。すげーじゃん。入門した人はほぼ辞めていくという魔のカリスマカメラマンのとこなのに」
俺がカフェ辞めてしばらくして、玉森もお店を辞めた。
やりたいことがある…とは言ってたけど、まさかカメラマンとはね。
思い起こせばよくスマホで写真は撮ってたけど…。
玉「でもさー。俺、ワンコとか撮りたいだよ。あんな渋谷の派手な読者モデルなんか相手にしたくない…」
「あーそれは仕方ないだろ!お前がいれば、女の子達がワガママあんまり言わないから利用されてるな!」
玉「そう!いっつも女性誌ばっか」
ニ「いーよねぇ。読者モデルの子とか可愛い子に囲まれて俺は羨ましいけどなぁ」
「そーだって。俺なんて男ばっかだぜ?女は事務員のおばちゃんしかいねーっつーの」
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作者名:さくら | 作成日時:2015年11月4日 21時