第38話 ページ38
side アリス
「Really!? 本気で言ってるのか？」
『エッグマンが居るかもしれないならクリス達が心配だし。それにナックルズさんにこの前のお礼がしたいの。我儘なのも足手まといなのも承知の上……。お願い、ソニック』
いつ会えるか分からないし。そう付け加え手を合わせた私の真っ直ぐな視線を受けながら、ソニックはしばらく固まったあと、口を開いた。
「お前、出禁くらってるんじゃないのか？」
『あっ』
忘れてた。あっさり正論で切り捨てられた。手すりを伝ってへなへなとへたり込むと、ソニックは撃沈する私を見下ろして頬をかきため息をつく。そして直ぐに、今度こそと言うように踵を返した。
『そうだった……。タナカさんどうして……』
「ま、運がなかったってことで。See you!」
『あっ……！』
ソニックは木々を揺らしてあっという間に消えてしまう。その後ろ姿を止めようとしても、私の声と手は空を切るだけだった。
彼の言う事は文句の付けようがなく正しい。正論に暴論や言い訳をするのは子供臭くて嫌だ。私はふらふらと立ち上がってテラスのイスに腰を下ろした。
エッグマン云々ならもしクリスに何かあっても確かにソニックに任せて安心だし、寧ろ私が行っても邪魔なだけだ。そこはいい。
ただ、私の心にはナックルズさんの事が引っかかって仕方なかった。彼がエッグマンに騙されていてソニックと敵対せんとしているとなると、これは只事では無い。
『……ナックルズさん』
その独り言は微風にさらわれて消えていく、はずだった。
微風は一瞬で暴風に変わって、私の髪をバサバサと靡かせる。飛行機か何かか、と目を見開いて周りを見れば、見慣れた姿が手すりの上に立っている。
あ、と私が声を漏らすのと殆ど同時に、手すりの上の青い彼は声を上げた。
「道、分かんないんだよな。案内頼めるか？」
『……ソニック〜！するする、案内する！』
「おっとと……元気がいいな」
あまりの嬉しさに私はエミーのようにソニックに突進した。彼は一瞬固まってそんな私の背中をあやす様に叩いて笑う。しかし私の頭には“出禁”の文字とタナカさんが燃える炎をバックにメガネを光らせる姿が浮かび、言葉を詰まらせた。
「What's up?」
『案内は出来るけど、私……』
わかりやすく落ち込む私に、ソニックはやれやれと頭を振ってため息をついた。先程出禁の事実を私に叩きつけたのは紛うことなき彼なのに。
「アリスは頭が固いなあ。バレなきゃいいんだろ」
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A - すごく素敵な作品でとても続きが気になります！続編もお願いしますっ！ (2022年4月24日 22時) (
レス) id: 1c577920f9 (このIDを非表示/違反報告)
憂象 - めちゃくちゃ面白いですね！！！！再度ハマるきっかけになりました！！ありがとうございます！！！(><＠) (2022年3月11日 21時) (レス) @page50 id: 63f42a208b (このIDを非表示/違反報告)
にーご - すごく面白いです！続編も期待しています(●´▽`●) (2021年2月7日 21時) (レス) id: 1e32eaca6c (このIDを非表示/違反報告)
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