第36話 ページ36
『ちょっ、』
「お、お姉ちゃん！ボクにも貸して！！」
これにはアリスも声を漏らす。ますます怪しげに首を傾げるエラの視線から逃げるようにクリスがアリスからテイルスを取り上げると、チャックと共に屋根裏部屋を後にした。あっさり置いて行かれたことに唇を噛むアリスに、エラは心底疑問そうな声で尋ねた。
「お嬢様……アレ本当に人形なんですか？」
『え！？も、勿論よ！！最近の人形はハイテクだもの、目くらい動かせて当然なの！！わわわ私お腹すいたから降りるわね！』
「あっお嬢様！階段は気を付けてくださいよ！」
『え、うわあああ！？』
矢先、アリスの情けない悲鳴がソーンダイク邸に響いたのだった。屋根裏部屋付近の屋根で日向ぼっこをしていたソニックは、テイルスをおぶったまま中庭へ飛び出してきたクリスとチャック、階段ですっ転んだであろうアリスの悲鳴に呆れたように溜息をついた。
＊
「クリス様。如何なさいました」
「うわっ」
そんな中、クリス達には次の関門が立ち塞がった。執事のタナカが、眼鏡越しのキリリとした目で2人を捉える。
「な、何でもないよミスター･タナカ……じゃあ！」
「じゃあ……」
「チャック様」
そそくさと走り去ったクリスにの後に続こうとしたチャックの前にタナカが立ち塞がる。
「今日こそ研究をお休みになって、きちんと睡眠を取られますよう。このタナカからもお願いします」
「そうは言ってられんよ……まだまだ研究の続きが」
「本日は日曜日、ホリデーにございます。ご自愛してくださいませ」
顔をずずいと近付けられては、主であるチャックでも言葉が出なかった……そして。
「お嬢様。貴女もですよ」
ついでにこっそりとその横を通り過ぎようとしたアリスも、タナカに捕まってしまった。これには逃げようとしたクリスも目を丸くする。
『何で！？私全然元気なのに！？』
「ここ連日、大学の課題で夜更かししていらしたでしょう。女性にとって睡眠不足は美容の敵でございます」
『それはもう慣れて……』
「それに足も完治しておりません。さあさあお2人共、お部屋へお戻り下さい」
「わ、分かったから押すな！」
『ウソでしょ……』
チャックでさえタナカに言いくるめられては何も出来なくなるのだから、アリスがどうこうできるわけでもなく。アリスはタナカに背中を押されるまま、呆然としているクリスに苦笑いでごめんのジェスチャーを取ると呆気なくログアウトしてしまった。
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A - すごく素敵な作品でとても続きが気になります！続編もお願いしますっ！ (2022年4月24日 22時) (
レス) id: 1c577920f9 (このIDを非表示/違反報告)
憂象 - めちゃくちゃ面白いですね！！！！再度ハマるきっかけになりました！！ありがとうございます！！！(><＠) (2022年3月11日 21時) (レス) @page50 id: 63f42a208b (このIDを非表示/違反報告)
にーご - すごく面白いです！続編も期待しています(●´▽`●) (2021年2月7日 21時) (レス) id: 1e32eaca6c (このIDを非表示/違反報告)
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