上司と雑炊2 ページ5
「A、目が覚めたか?」
タイミングよく寝室に入ってきたのはまさかの降谷さんだった。
「・・・降谷さん?」
「なんだ?俺以外に見えるのか?」
ベッドまで近寄ってきた降谷さんはそっと私の頬を撫でる。
ヒンヤリとした手が気持ちいい。
「まだまだ高いな。ご飯たべれるか?」
「・・・食欲無いです。」
「ちょっとでもいいから食べろ。薬が飲めないからな。」
ちょっと待ってろと降谷さんは寝室から出て行ったと思えばトレーを持ってすぐに戻ってくる。
トレーの上にはほかほかと湯気の立つ雑炊だ。
お茶碗によそってもらった雑炊を眺めているとニヤっと効果音がつきそうな笑顔で降谷さんは問うてきた。
「なんだ?あーんでもして欲しいのか?」
「・・・結構です。」
この人のあーんは絶対怖い。
レンゲじゃなくてお茶碗ごときそうだ。
見ていてもラチがあかないのでレンゲで雑炊を掬う。
一口口に入れれば優しい味が広がる。
「・・・美味しい。」
「そうか、食べれるだけ食べろ。」
食欲がないと言ったが食べ出してしまえばお腹が空いていたことに気付く。
あっという間にお茶碗の中は空っぽになった。
薬を飲んで一息ついて気になったことを問いかける。
「なんでここに降谷さんいるんですか?鍵また開けましたね?」
なんたって彼は公安一忙しい人でここで油を売っていていい人ではない。
それ以前に不法侵入だ。
まぁ、この人の場合前科があるしピッキングもお手の物だから関係ないのかもしれないが。
「・・・今日登庁したら風邪で休みだと風見から聞いてな。お前の事だろうからきっとろくに食べてないだろうと思って来てみれば床で倒れていたんだ。」
全く人騒がせなといいながらも降谷さんのいつもの覇気がない。
もちろん鍵の部分はスルーだ。
しかしそれのおかげで助かったのも事実。
少し癪にさわるがお礼を述べる。
「ご心配おかけしました。」
「全くだ。早く治せ。お前がいないと困る。」
「・・・えっ?」
私そんなに重宝されていたのか?!
鬼の上司にいないと困ると言われて、今まで頑張ってきたかいががあったと鼻の奥がつーんとしてきた。
「肉まんの買出しを頼めないじゃないか。」
「そっちの重宝か?!」
これのやり取りのせいで三日三晩寝込んだのは言うまでもない。
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月詠(プロフ) - まゆさん» ありがとうございます!少し更新スピードが落ちてますが気長に待っていただければ幸いです。 (2019年11月29日 21時) (レス) id: a4fc351ca6 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 続編おめでとうございます^_^面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年11月16日 0時) (レス) id: fb97b4034b (このIDを非表示/違反報告)
月詠(プロフ) - まよさん» 初めまして。ありがとうございます!すごく励みになります。気長にお付き合いくださいませ。 (2019年9月27日 17時) (レス) id: c30e1cbeb8 (このIDを非表示/違反報告)
まよ(プロフ) - 初めまして(^^)すごい面白くて夢中で読んでます!更新楽しみにしてます! (2019年9月26日 12時) (レス) id: f3e2704753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月詠 | 作成日時:2019年9月13日 17時