賢い狐にご用心 Ⅱ (ページ4)

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仔犬が八匹ページ4

　
　
　
＿＿＿一年生中期
　
　
　
NRCでは、一年生が魔法薬学の授業で惚れ薬を作る
　
　
　
僕たち、まぁ僕とデイヴィスも例外なく薬を完成させた
　
　
　
　

………そこまでは良かった
　
　
　
「それでは、ペアの人に薬を飲ませてください。机の上に解毒剤はありますから」

　
そこで教室内はザワザワと騒がしくなる
　
　
　
　
僕とデイヴィスを除いて
　
　
　
　
マズい

　
惚れ薬は既に惚れている相手には効かないんだ

　
　
そして僕は既にデイヴィスが好き
　
　
　
惚れ薬は相手に向かって「好き」と連呼するようになったりする薬だから
　
　
　
目に見えて効果がわかる
　
　
　
これは、非常にマズい
　
　
　
　
(今回ばかりはAと組んだのは失敗だったな。…………どうせいつかは言うつもりでいるんだ。時期が早まっただけのこと)

「飲むか」

『え?あ、うん。じゃあ僕から、だね』

　
もうどうにでもなれ
　
　
　
ｺﾞｸｯ)
　
　
　
『……………』

「…………?」
(なぜ何も起こらないんだ?失敗したか?)

　
『つ、次、デイヴィスの番』

「…………あぁ」

ｺﾞｸｯ)
　
　
　
　

あれ?

　
何も、起こらない………?
　

どうして、完璧に作れたはずなのに
　
　
　
　
　
(まさか、な………)
「おい。少しペアを交換してほしいんだが」

『あ、僕もお願いしていい?』

　
　
デイヴィスが頼んだもう片方の人に飲んでもらうことに
　
　
　
そうしたら
　
　
　
「んへへっA、好き。世界で一番好き」

　
……効いた
　
　
　
恐る恐るデイヴィスを振り返る
　
　
　
「デイヴィス!愛してるぜ!」

「もういい。わかったから黙れ」

　
　
薬は失敗していない
　
　
　
ということは…………
　
　
　
僕たちに効かない原因があるって、こと………
　
　
　
　
　
あぁ〜………うそ
　
　
　
やだ
　
　
　
こんな、こんなっ
　
　
　
　
((こんな形で知りたくなかった!))

　
(クソっ。これじゃあ成り行きになるだろうが!この際、何事もなかったようにしてしまうか…)
　
「A」

『ﾋﾞｸｯ)な、なに?』

「……薬はできているようだし、提出しに行くぞ」

『………うん』
　
　
　

　
あぁ、無視するの
　
　
　
なんか安心したけど
　
　
　
　
……すごく胸が苦しいなぁ
　