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9華目 ページ10

「…本当に美味しかった……」



チョロ松の作ってくれた豚汁は本当に私の作るそれの500倍は美味しかった



男子に負けた…ちょっとショックだ



ふらふらと食堂から出て庭へ降りると、庭の隅にちらりと見える紫色の着物




「一松?何してるの?」




そう声をかければ彼はびくぅっと肩を震わせる




一「……桜」

「驚かせちゃった?ごめんね」

一「…別に良いよ、桜なら」




小さな声で言って自分の手元に視線を戻す、彼の手の先には小さな猫がいた




「あら可愛い猫ね」

一「……うん」

「触っていい?」

一「いいよ…」




一松の隣にしゃがみこんで猫を撫でる、喉をくすぐるように撫でてやるとゴロゴロと気持ちよさそうに目を細めた




「可愛い、昔から一松は猫が好きね」

一「…こいつらは似てるから、昔の俺に」




どこか懐かしむように、愛おしむように猫を撫でる




「例えば」

一「人をあんまり寄せ付けないところも、天涯孤独なところも全部」

「ふふ、そうね、でも今はどうなの?」

一「…少しはマシになった、帰る場所が出来たから……桜のおかげで」




気だるそうに半開きだった目が柔らかく細められる、一松はこの笑顔を私にだけ見せてくれる




「…たしかに一松は猫に似てるわね」

一「…どこが?」

「可愛くて撫でたくなる」




少しからかうようにそう言えばキョトンとした後彼の方が悪戯っぽい笑顔になる




一「撫でていいよ」

「え?」

一「撫でたいんでしょ、好きに撫でていいよ桜なら」




私の手首を掴んで自分の頭の方に引き寄せる




「じゃ…じゃあ」




少しぼさぼさの髪に触れる、思ったよりも固くない



猫にするように優しく撫でれば気持ちよさそうに目を細める一松



本当に猫みたい




「気持ちいい?」

一「うん」




人一倍警戒心が強い一松に心を開かれているのはやっぱり嬉しい




一「…次俺に撫でさせてよ」

「え、わ、私を撫でるの?」

一「…そっちばっか撫でるのはずるい」

「うっ…分かった、どうぞ」




一松の頭から手を離して、撫でられるのを待つ



でも待てども待てども触られない




「…一松?」




気になって彼を見ると手を私の頭上で止めたまま真っ赤な顔で固まっていた




…忘れてた




一松は6人の中でも特に女の子に免疫がないんだった…



私は固まってしまった一松の意識を戻すのにこの後奮闘したのだった

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kon(プロフ) - やばいこの話めちゃくちゃ好きなんだが…更新まってます!!体には気をつけてください (2021年8月1日 0時) (レス) id: e47e7d9c51 (このIDを非表示/違反報告)
みのむし - いつまでも更新まってまああああああす! (2019年10月1日 12時) (レス) id: 06e7f83b31 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 初めまして!更新待ってます!お体に気をつけて下さいね(●´ω`●) (2018年12月3日 0時) (レス) id: addea659d8 (このIDを非表示/違反報告)
盆栽(・∀・) - 更新待ってます頑張ってください!後頑張りすぎて体調壊さないでくださいね! (2017年4月5日 17時) (レス) id: 8229e9a1bf (このIDを非表示/違反報告)
つー(プロフ) - いつも更新待ってます。これからも頑張ってください。 (2017年1月6日 13時) (レス) id: b0f4d5d524 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽるて | 作成日時:2016年2月18日 14時

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