117.またさらに ページ46
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彼女はベッドに寝そべったまま、
白球を天井に向かって投げていた。
御幸「体調はどう?」
A「寝すぎたくらい。だいぶ回復したよ。
もうすぐご飯食べられそう。」
むくり、と起き上がりこちらに体を向けた。
御幸「ちょっと顔赤くない?」
A「うーん、わかんない。礼ちゃんには『吐き気もまだあるみたいだし、大事をとってあと2日休みなさい』って言われちった」
御幸「ほら、やっぱまだ顔赤いんじゃん。」
一週間もお休みもらっちゃった、と困ったように笑っている。
御幸「A」
A「ん?」
御幸「誕生日おめでとう。」
素直に言うと、彼女は少し目を丸くし、
にっこりと笑った。
A「ありがと」
御幸「申し訳ないんだけどさ、
新体制になって、余裕なかったし
Aが体調崩して、俺の中でそれどころじゃなくなってて
去年俺にくれたのに、その…
プレゼント、
用意できてなくて…」
少しずつ声が小さくなってしまった。
御幸「だから…ごめん、もうちょっと待ってて。絶対渡すから。」
と謝ると、
A「気にしなくていいのに。」
と少し眉を八の字にして言った。
そして、俺の手をとり、
A「私が体調崩してる間、
ずーーーっと毎日来てくれたじゃん。
熱出して、御幸を引き止めちゃった時も結局朝までいてくれたし、
戻しちゃった時もずっと背中摩ってくれたり。
すっっごく心強かったよ。」
なんて真っ直ぐ俺の目を見て言うもんだから
顔に熱が溜まる。
A「正直誕生日ってことも祝われるまで覚えてなかったし、
私もそれどころじゃなかった。
でも御幸にはいつもお世話になってるし、
私が前にあげたのも、見返りを求めてたわけじゃない。
ここ数日のこともあるし、
そうじゃなくても大事な友達からなら、
ものがなくても、言葉だけで全然充分だよ。
言ってもらえるだけで充分嬉しいよ。
それでもいつかくれるなら、待ってる!」
と。
俺はまたこの子に惚れ込んでしまう。
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ゆかり(プロフ) - 汐音2号機さん» こちらこそよろしくお願いします (2020年7月21日 22時) (レス) id: 9654438337 (このIDを非表示/違反報告)
汐音2号機(プロフ) - ゆかりさん» ありがとうございます!これからも順に投稿していくので、何卒よろしくお願いします:-) (2020年7月21日 19時) (レス) id: e21875e94a (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - はじめまして!展開が気になります! (2020年7月18日 10時) (レス) id: 9654438337 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:汐音2号機 | 作成日時:2020年6月27日 3時