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99.彼女の独白 ページ28








行くあてもなく、このまま帰すのも不安で

そんなことも出来ずに俺たちは

Aの住むマンションの近くにある公園に来た。





A「わたしさ、最初、野球部のことを【別世界】だと思ったって言ったことあるよね」




御幸「うん。言ってたな。」





そのベンチに座らせ、飲み物を渡すと、


ぽつり、と話し始めた。




A「そこに引っ張りこんでくれたのは御幸で。

倉持や、マネさんたち、それから哲さんとか、亮さんとか、とにかくみんな、引きずり込んでくれて。」






Aは俺が渡した飲み物を

開封することなく握りしめて、

俯いたままぽつりぽつり、と話し続ける。








A「それでもまだどこかに


"途中から来たマネージャー" と "選手" っていう


壁はどうしてもあって、

他人事でなければならない、って思ってたのね」






御幸「うん。」









A「マネージャーだし、

試合に出る訳でもない。



だから試合を見ても、

悔しいとか、嬉しいとか。



そんなの私にはないって思ってたの。」









耳を逸らすことなんて出来ずに


しっかりと聞いていた。









A「最初、『野球なんて投手対バッターじゃん』とか



『ストライク狙うのは当たり前。ボールを狙って投げる人なんていない』とか



『塁に出たらあとは走るだけ』



『走るのは次の人が打ってから』とか




全部、単純なものだと思ってたの。」









何となく、

彼女がどんな顔をしているのか見ることが出来なかった。



正面を向いたまま話を静かに聞いていた。









100.気づいた時には→←98.夜の公園



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ゆかり(プロフ) - 汐音2号機さん» こちらこそよろしくお願いします (2020年7月21日 22時) (レス) id: 9654438337 (このIDを非表示/違反報告)
汐音2号機(プロフ) - ゆかりさん» ありがとうございます!これからも順に投稿していくので、何卒よろしくお願いします:-) (2020年7月21日 19時) (レス) id: e21875e94a (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - はじめまして!展開が気になります! (2020年7月18日 10時) (レス) id: 9654438337 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:汐音2号機 | 作成日時:2020年6月27日 3時

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