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93.明日もきっと、 ページ22






7月30日


決勝前日。


その日の練習を終えた。



必ず笑顔でこのグラウンドに帰ってくる。



そう誓って。

















東さんから大量にいただいた差し入れを片付け、マネさんを見送り、


待ってくれている彼の元へ向かった。


なんでも御幸の部屋にみんな集まるみたいで

同室の木村はどこかに逃げ、御幸だけでも部屋に戻ったみたいだ。





A「ごめん、おまた…せ…」



部屋に入ると、純さんと倉持が沢村を押さえつけてたり

哲さんはところ構わず携帯のカメラでシャッターを切りまくってたり、



なかなかにカオスな状況だった。



A「泣いても笑ってもあとひとつかあ……」


そんなカオスな状況から抜け出し、

帰路に着いた。



ぼんやりと空を仰ぎながら呟く。


A「今日くらいさ、1人で帰ろうかなって思ってたの。」


御幸「気にすんなってこれくらい。いつもの事だし。」



A「うん。そう。いつもの事。

だからやっぱり一緒に帰ろうと思ってさ。

多分いつも通りにしてないと落ち着かなくて。」



御幸「…そうだな。俺もいつも通りにしてた方が気が楽だわ。」


と、お互いクスリと笑いあって歩き続けた。





A「前に御幸に『勝ちが保証された試合なんてない』って言ったよね。」


御幸「ああ、言ってたな」



A「あれ、逆もまた然りだよね。」



御幸「?」




A「誰も負けるために試合なんかしない。

負ける気で試合になんて挑まない。

少なくとも青道野球部は。」





御幸「!…当たり前だろ

明日絶対勝つから。」





少し前を歩く御幸がチラッとこっちを振り向いてニヤリと笑った。



そんな背中に



A「ふふ、頼んだよ」


御幸「うぉっ…ああ。応援頼むな」


A「うん!」




飛びついてやった。



大丈夫、きっと彼らならやってくれる。


明日も笑顔で

楽しく帰れる。





葉菜子 「自己満な不安や心配で水をさしちゃダメ、

それこそ失礼よ。

絶対やってくれる、

そう信じてあげることが

きっと一番の力になる。」






昨日の晩、家でソワソワしていた私に姉が放った言葉。


私の中で結構ストン、と落ちてきた。








今更誰がじたばたしても仕方ない。


やれることは全てやった。

それを全て出し切るだけだ。



私もそんな彼らを応援するだけだ。




A「じゃあまた明日!」


御幸「おう!お疲れ!」




明日もきっと、こんな風に。







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ゆかり(プロフ) - 汐音2号機さん» こちらこそよろしくお願いします (2020年7月21日 22時) (レス) id: 9654438337 (このIDを非表示/違反報告)
汐音2号機(プロフ) - ゆかりさん» ありがとうございます!これからも順に投稿していくので、何卒よろしくお願いします:-) (2020年7月21日 19時) (レス) id: e21875e94a (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - はじめまして!展開が気になります! (2020年7月18日 10時) (レス) id: 9654438337 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:汐音2号機 | 作成日時:2020年6月27日 3時

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