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銀ノ魂篇/不死の血 ページ19

晋助は血で床を真っ赤にし、そこに倒れていた。薄ら開く右目で、解放軍の数人が不死の血(てんどうしゅう)を持ち去ろうと動く様子を見つめる。


()の力は、残しちゃならねェ。
不死の血(それ)は、人の手に負えるものじゃねェ。

まだくり返すつもりか。まだ先生を苦しめるつもりか。


俺は先生を、また救えないのか。


___動け、動け。
頼む。あと少しだけ、俺に時間を……。

俺は……まだ、くたばるワケには……。



解放軍が居なくなった後、手と膝を床につき、身体を無理矢理床から離す。そして彼の目に入ったのは、落とした朧の遺骨だった。

やっぱりあそこには還してやれないな、と。心の中で謝って、晋助はその小袋と刀を手に取った。


一か八かだ。

力を貸せ、兄弟子。



晋助は小袋を心臓のある辺りに付けると、それごと刀を自分に刺した。

心臓が貫かれるのが解る。


もうくり返しはしねェ。もうくり返させはしねェ。

あと少し、少しだけでいい。俺に、力を。
俺達の師を救うために、力を……!!



そして、視界が闇に染まった。






「___確証はなかった。朧の遺骨にまだ不死の力(ちから)は残っているのか、そいつは俺の身体にどんな影響を及ぼすのか」


銀ちゃんは唖然としていて、聞くのは2回目の私も辛いのに、お兄は淡々と話す。


「そこには、もう天導衆も、その血を求め群がる兵もいなかった。だが、焦りも迷いもなかった。兄弟子(おぼろ)が、先生の血が、俺をもう1度そこに立たせた。その意味を、俺はしっていたから」


太陽が肩の上で小さく鳴いた。賢い愛猫は、まるで慰めるみたいに私の頬を舐める。


「高杉。お前のその身体は、朧の……」

「見た通り、不死なんぞとは程遠い身体だがな」


お兄は窓の外を見つめたままだ。その表情は見えないけれど、多分いつもと変わらないんだろう。


「朧は確かに先生から不死の血を受けていた。だがそれは瀕死にあった朧の命をつなぐためのものに過ぎねェ。実際奴の血は死線を重ねる度その力を失い、最後には枯れ果てその身体には朽ちた。そんな奴の血でもなく遺骨(ほね)をとり込み、命をつなげられたのは奇跡に等しかろうよ」

銀ノ魂篇/信じてるんじゃない、知ってるの→←銀ノ魂篇/人間



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なのは(プロフ) - 更新しないですか?楽しみです!(>_<) (4月23日 0時) (レス) id: d007c1ae64 (このIDを非表示/違反報告)
いな - 面白かったです!最初から一気に読みました!これからの展開が楽しみです!! (2023年2月4日 10時) (レス) id: 200a1f85db (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 続きが気になって目が乾燥帯になってます、続きとかは、もう出ないんですか? (2022年8月9日 10時) (レス) id: c4efed8c6d (このIDを非表示/違反報告)
- 続きはもう出ないんですか?気になって夜しか寝れません (2022年8月8日 22時) (レス) id: 79fd85110e (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - わかさん» ありがとうございます、候補に加えさせていただきます (2021年8月31日 20時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず | 作成日時:2021年2月13日 0時

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