銀ノ魂篇／信じてるんじゃない、知ってるの ページ20
「そんなザマだ。俺は一時的に死を先のばししたに過ぎねェ」
私は左手で太陽の髪留めに触れた。その直後に総悟に言われた事を思い出して、一瞬だけ状況も忘れて悔しくなる。
総悟に癖指摘されるなんて……。
昔お兄に、苦笑いしながら言われた事があった。「お前は信じたい事しか信じねェよな」と。
違うんだよ、と数年越しに、心の中で呟く。
私は信じたい事しか信じないんじゃないの。私が事実だと思う事を信じるの。
「既にこの身体は再生能力も弱まり、朽ち始めている。残った時間はそう長くねェ。だが、おかげでちったぁ素直に、てめェの本当にやりてェ事がやれるようになったぜ」
だからさ、私信じないなんて出来ないの。
お兄が真剣な口調で大事な事を言うんだよ？ 事実以外の何物でもないじゃない。
「天導衆を、虚の血を持ち去ったのは、ただの民に過ぎねェ。戦争で全てを失い希望をなくした連中は、不死を求め虚の血を求めた。その血があれば、失ったものを取り戻せるかもしれない。命を自在にできるなら、全てをやり直せるかもしれない。そんな幻想が、奴等を、民を、狂騒に駆らせた。かつてくり返されてきた過ちが、再びくり返されようとしている」
そんな連中の気持ちは、私には解らない。
命が無限にあったって、ゼロからやり直す事なんて出来ないんだから。失ったものが、全自動で戻ってくるワケがないんだから。
「俺はそいつを止めるため、この２年奴等を追い続けてきた。世界に散らばった虚の血を、虚の因子を、根絶やしにするために。Aと会ったのはその途中だよ」
「病院抜け出して太陽の後ついてったら、お兄が居るんだもん……ビックリした」
その時に私は、彼について行くと決めたのだけれど。命が長くないなんて話をしてお兄は私がついて来るのを阻止したかったようだが、生憎私は１度決めたらやり通す。
諦めの悪さは折り紙付きだ。
「……だが
奴等は不死の血の操り方を理解し始めている。天導衆の残党は１度は虚の血によって肉体を破壊されたが、それを制御する術を発見したのだ。
奴等は肉体を再生させると共に、その
星芒教とは、元は星の力『アルタナ』を崇める辺境の惑星の宗教。星をまたぎ複数の宗教を取り込み別物と化した今では、さして重要な事ではないけれど。
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なのは(プロフ) - 更新しないですか？楽しみです！(>_<) (4月23日 0時) (
レス) id: d007c1ae64 (このIDを非表示/違反報告)
いな - 面白かったです！最初から一気に読みました！これからの展開が楽しみです！！ (2023年2月4日 10時) (レス) id: 200a1f85db (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 続きが気になって目が乾燥帯になってます、続きとかは、もう出ないんですか？ (2022年8月9日 10時) (レス) id: c4efed8c6d (このIDを非表示/違反報告)
春 - 続きはもう出ないんですか？気になって夜しか寝れません (2022年8月8日 22時) (レス) id: 79fd85110e (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - わかさん» ありがとうございます、候補に加えさせていただきます (2021年8月31日 20時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆず | 作成日時：2021年2月13日 0時
