心にも (ページ39)

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銀ノ魂篇／本当は一番きれいな世界ページ39

俺達、と晋助は言った。

「貴様は……」

「俺も……お前と似たようなもんだ。数えきれねェ程の罪にまみれてきた」

何人も殺した。それだけじゃない、あの人を銀時に斬らせてしまった。

「だが、だからこそまだこうして、不様さらして生きてんだ。それに、その罪から生まれた奴が、あの男が止まれというなら、止まるしかねェだろ」

徳川喜々は驚いた顔をした。
かつて会った時は、あんな事を言う男ではなかった。

ガチャ、と銃が地面に落とされた。

「やれやれ。将軍の命令に逆らうわけにもいくまい。打ち首にされてもかなわんからな」

「フン。あんな男を将軍とあおぐつもりはない。だが」

坂本の言葉に、味方に支えられながら小太郎が言う。

「もし本物の将軍がここにいたならば、そうしたであろうな」

ガチャガチャ、と音がした。銃を構えていた人間達が、それから手を離したのだ。

一方構えたままの解放軍は、驚いた顔をする。

「まだ続けるのであれば続けよ。我等の戦場は、もうここにはない」

喜々が解放軍に向けて言った。

「憎しみも悲しみも抱えて……それでも生きるのだ、我が民よ」

そんな喜々を茫然と見つめていた圓翔は、ふと彼女の事を思い出した。
何故だろうかと考えて……喜々の目に見覚えがある事に気が付いた。

「同じ目だ。かような目をした者達に、逃げ続けた私が……勝てるはずもなかったか」

立ち向かい続けた彼等は自分には無い強さを持っているのだ。武力なんかじゃ計れない強さを。

何だ、最初から決まっていたのに……最初から分かれたのに。
あんな目をした彼等が、無意味に人を傷つける筈が無いと。

「侍の国。よき民、そしてよき王をもった、よい国だ。手を貸してくれるか。私もこれ以上、部下達を死なせるワケにはいかぬ」

微笑んだ圓翔に、喜々も微笑んだ。

紫雀が圓翔に歩み寄り、その身体を支えながら坂本達の方へ向かう。

「バカ者め。何故もっと早くに話してくれなかった。何故もっと早くに……」

慌てた解放軍が武器を下ろして船の落下を止めようとする声を聞きながら、紫雀は言う。

「あの男達となら、違う未来が歩めたかもしれなかったのに。何故……バカ者め……」

「……紫雀……すまなかったな……」

パパァン！！

＿＿＿突然銃声が響いた。誰の目にも、赤が映えた。

皆が目を見開き、くず折れる圓翔を見つめる。

「圓翔ォォォ！！」