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銀ノ魂篇/徳川喜々 ページ40

現状を頭が理解すると、皆圓翔から、銃弾が飛んできた方へ目線を移す。

そこには1人の天人が居た。


「ふ、ふざけるな。お前の言う通り戦い続け、仲間を犠牲にしてきたのに」


彼は怒りのこもった震える声で言う。


「和睦だとォォ!! ならば我等の仲間は一体何のために死んだ!!」

「貴様ァァァァァァ!!」


紫雀が怒鳴り声を上げる。
それから、その天人に銃を向けているだけの解放軍にも「何をしている!! とり押さえろ!!」と指示を出した。

圓翔に視線を戻し、真っ青な顔でその名前を呼ぶ。ふと視線を上げて、またその目が見開かれた。


ポタポタと、まだ新しい血が流れている。

___徳川喜々のものだった。


「のっ……喜々ぅぅぅ!!」


倒れる彼に、坂本が叫ぶ。

反射的に人間達が解放軍へと銃を向け、それに反応して解放軍も人間へと銃を向ける。


「貴様らァァァァァ!! やめぬかァァァ!!」


一触即発の空気の中で、そう声を上げる者が居た。徳川喜々だ。


「こらえろ。そう申したはずだ」


苦しそうにしながら彼は言った。坂本と小太郎が目を瞠る中、喜々は続ける。


「その者を許してやってくれ。何も間違った事は言っていない。我等は戦を勝手にひき起こし、(そなたら)を弾丸の雨の中に立たせてきた。それをまた勝手に終わらせられるとは思っていない。弾が残っているなら気の済むまで撃て、私に……。私達にはそれを受ける義務がある」


心からの言葉だった。

それが分かるから、誰も口を挟めずに、聞いていた。


「我らが始めた戦だ。ならばこの戦、大将(われら)2人の命をもって終わりにしよう」

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作者名:ゆず | 作成日時:2020年10月19日 19時

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