心にも (ページ36)

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銀ノ魂篇／絶望よりも太い奴ページ36

男は、ただそこに立った。

ただそれだけで、味方の気配が、敵の気配が、戦場が、変わった。

晋助が刀を真っ直ぐ前に向けると、それを合図にするように天人達が乗っていた船を飛び降り、戦争に参加する。

敵味方入り乱れる乱戦の中、圓翔は自分に真っ直ぐ向かってくる殺気を感じて後ろに目をやる。すぐに顔が強ばり、刀を取り出した。
ガキィィン！！と、圓翔と晋助の刀がぶつかる。

圓翔は晋助の攻撃に剣で対応するが、壊れている剣だ。ピシッピシッと、鍔が悲鳴を上げる。
上司の危機に、解放軍の２人が晋助の背後から彼へ銃を向けるが、すぐに地面に倒れる。小太郎と坂本の仕業だ。

小太郎と坂本は、荒い息を吐きながら晋助を横目で見る。彼は振り返る事もせず、ただ血を流しながら前を向いていた。

圓翔の鍔から、ボッと光が出る。それを光の玉に変え、自分の後ろで自分を援護するかのように銃を構えている部下が発砲すると共に光の玉を３人へ飛ばした。

小太郎は晋助の前に出ると、拾っていた光の剣で垂直に円を描く様に回して盾代わりにし、それらを弾く。
勢いそのまま向かってきた光の剣を跳んで避けた圓翔へ坂本が銃を乱射し、晋助と小太郎は地面の解放軍達を斬っていく。

圓翔の反撃で光が坂本を貫いたが、彼は銃を真っ直ぐ圓翔に向け、引き金を引く。銃弾が圓翔の右腕に当たり、彼は剣を落とした。

その隙を見逃す筈も無く、小太郎が勢いよく剣を振り下ろす。が、スレスレで避けた圓翔はまた左手で剣を掴みそれで小太郎を斬ろうとし……目を瞠った。
光の剣が貫いていたのは小太郎ではなく、彼がいつも持ち歩いている球の時限爆弾。
剣によってピシリと爆弾にヒビが入り、爆発した。

「……お……皇子……！！」

白煙が晴れると、その中の圓翔が見える。肘から先の左腕が失くなっていた。

「きっ、貴様らァァァァァァァァ！！」

叫ぶ圓翔の目の前に、晋助が立った。