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銀ノ魂篇/友達 ページ4

街の機械が次々に壊れてゆく。空を飛んでいた戦艦が次々に堕ちてくる。


『一体何が起こってる!! 全ての機械(からくり)を破壊するって何だ!! じーさん、たま!!』


焦っているような、心配しているような銀時の声が流れ出るトランシーバーを握り締めながら、源外はただ目の前の光景を見つめていた。
棒の根本へと自身のからだを繋いでいた機械(からくり)達が、次々と頽れてゆく光景を。

何で、と思った。


なんで黙っていっちまうんだ。恨み言の1つくらい吐き捨てていってくれ。

普段はロクに言う事もきかねェポンコツどもが、こんな時に限ってなんで、機械(からくり)みてェな殊勝なツラで黙って壊れていきやがるんだ。



静かにその機能を停止してゆく機械(からくり)達。

普段はあんなにうるさいクセに、そこら人間よりよっぽど人間らしいクセに。


人の役に立つのが機械(からくり)、確かにそうさ。だがお前達がいやだというなら、俺ァそれでも構わなかったんだぜ。

役に立たなくても、ポンコツでも、



握り締めた拳がふるふると揺れた。
唇を噛み締める。

脳裏を過るのは、今迄共に過ごしたバカみたいな日々。


俺ァ友達(おまえたち)となら、一緒にくたばる覚悟はできてたんだぜ。



……なのに。


平賀源外は、機械(からくり)の破片がそこかしこに散らばる地面に膝をついた。すまねェ、すまねェと、伝わる筈の無い謝罪をした。


確かに機械(からくり)はいずれ壊れる物で、その事を悲しむ必要は無いのかも知れない。

でも人は、友達が死んだら哀しむものだろう。





「___人生を機械(からくり)にささげてきた男が、戦争を止めるためにその全てを捨てる事になろうとは」


辛そうな、苦しそうな声だった。それでもそんな自身の事など気にも止めていなそうな声だった。

確かに膝を下についているのに、手でからだを支えて、倒れまいとして。


「死ぬよりも辛い道を選ばせる事になっちまったな。だがそれでもケツまくるワケにはいかねェ」


坂田金時は苦しそうにしながらも笑みを浮かべる。

何故なら、


「俺達ァ平賀源外の作った機械(からくり)だからよ」


強いあの人に作られた強い機械(からくり)だ。これくらいの辛さで、苦しさで、倒れるワケにはいかないんだ。

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作者名:ゆず | 作成日時:2020年10月19日 19時

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