瑠璃色の桜篇/ずっとずっと逢いたかった人 ページ7
という事で。
「よく戻って来てくれたわね、雅」
「まだ慣れないかもしれないが、血の繋がった家族なんだから。遠慮とかは要らないよ」
突然の夫妻の訪問から1週間後、私は桜庭家に来ていた。
すぐ近くに江戸城があるという立地や屋敷の大きさからして、相当な名家である事は間違いなさそうである。
入って入ってと促されるまま屋敷に足を踏み入れる。
中も豪奢で、軽く目眩がした。
「雅! ずっと会いたかった」
なんとか目眩を堪えていると、そんな声と共に1人の男の人がこちらに歩み寄ってくる。
私の事を呼び捨てにしているから、使用人とかじゃないな。お兄ちゃんだろうか。
「桜庭
「あら千景、四葉さんは?」
薄っぺらい笑みを浮かべて自己紹介をする……なんだろう、名家の子ってお兄ちゃんの事兄上って言うんだっけ? 取り敢えずそう呼ぶわ。
兄上へのその母上の問いに、私は思わず拳を握る。
他に私に兄弟が居ないなら、コイツがお姉ちゃんの夫って事になるから。
「四葉は慌てて身支度をしていたな。雅が来るの、予定よりも少し早かっただろう」
「まあ、そう。もう少し時間に余裕を持った方が良いわね、四葉さんは」
仕方なさそうに笑う2人に、トゲは見当たらない。
お姉ちゃんがココで馴染めている事に、少しホッとした。
「すみません! 遅くなりました」
……突然懐かしい声が聞こえた。
顔を上げて彼女を見ると、綺麗なストレートの黒髪も瑠璃色の瞳も、11年前と変わっていなくって。
もうすぐ大人からすっかり大人になっている以外は、私がずっと逢いたかったお姉ちゃんだった。
私へ向けられた瑠璃色が、驚いた様に、信じられないという様に、見開かれる。
そして少し揺れた瞳を下を向いて隠しながら、彼女は言った。
「……桜庭四葉です。貴女の義姉になるかな、よろしくね」
「……よろしく、お願いします」
私へ向けられたぎこちない笑みに、私もぎこちなく笑って返す。
だって笑わないと、涙が溢れてきそうだったから。
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ゆず(プロフ) - ももさん» はい、頑張ります! (2020年4月17日 14時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ゆずさん» 全然、大丈夫です!これからも頑張ってください!応援してます! (2020年4月17日 11時) (レス) id: 3ad4efd6ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - ももさん» 教えてくださって本当にありがとうございます! 直しました。ちょっと台無しですね・・・、本当にありがとうございます。 (2020年4月17日 10時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 突然失礼します。ページ39の四葉が過去を振り返り終わった2文目、恐らく「銀時に惚れた」と書きたかったのでしょうが、「銀魂に惚れた」になってますよ。 (2020年4月17日 0時) (レス) id: 3ad4efd6ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - ゆいさん» ありがとうございます! 思っていた以上に四葉が皆さんに好かれていて本当に嬉しいです。期待に応えられるよう頑張ります! (2020年4月15日 19時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2020年3月21日 18時