瑠璃色の桜篇/涙 ページ34
日が少し傾いてきた空の下、2人並んで道を歩く。
どうやら銀時は夕食の食材を買いたかったらしい。
松陽先生に、おつかいを頼まれていたのだと言う。
「……それなら、私は別に来なくて良かったんじゃないの」
ふと思って、そう言った。
少しキツイ言い方になっていたかもしれない。
「お前に訊きたい事があって」
私の口調を特に気にしていないように、銀時は口を開く。
どこか緊張した様子で、食材の入った袋を右手から左手に持ち替えた。
「……お前最近、何かあっただろ」
私の事を心配するような口調だったけれど、「あったか?」じゃなく、「あっただろ」だった。
見抜かれている事に驚いて、心配してくれている事に少し泣きそうになって、それでも私は彼からツンと顔を背けた。
「……別に。何も無いわよ」
ああ、私は何を言っているんだろう。
今日で、会えるのが最後かもしれないのに。
「そんなワケねーだろ。こっち向けよ」
本当に、どこまで優しいんだろうかと思う。
こんな私の事なんて、放っておけばいいのに。
「何も無い」
「嘘だ」
「何も無い」
「嘘だ」
「何も無いわよ!!」
耐え切れなくなって、ついに叫んだ。
叫んだ後で、目の奥が熱くなって、鼻がツンとしているのに気付く。
ヤバイ、泣いちゃう、と思った時にはもう、熱い雫が頬を伝っていた。
246人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆず(プロフ) - ももさん» はい、頑張ります! (2020年4月17日 14時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ゆずさん» 全然、大丈夫です!これからも頑張ってください!応援してます! (2020年4月17日 11時) (レス) id: 3ad4efd6ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - ももさん» 教えてくださって本当にありがとうございます! 直しました。ちょっと台無しですね・・・、本当にありがとうございます。 (2020年4月17日 10時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 突然失礼します。ページ39の四葉が過去を振り返り終わった2文目、恐らく「銀時に惚れた」と書きたかったのでしょうが、「銀魂に惚れた」になってますよ。 (2020年4月17日 0時) (レス) id: 3ad4efd6ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - ゆいさん» ありがとうございます! 思っていた以上に四葉が皆さんに好かれていて本当に嬉しいです。期待に応えられるよう頑張ります! (2020年4月15日 19時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆず | 作成日時:2020年3月21日 18時