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瑠璃色の桜篇/姉の想い ページ25

私の言った情報に「成程」とコクコク頷きながらメモをとるAちゃんに、音には出さずに少し笑った。




11年振りに思いがけない再会をしたら、低めではあるけれど背も伸びていて、顔も童顔ではあるけれど大人びていて。


それでも彼女は、取り戻せない、やり直せない11年間でついてしまったであろう溝を、私に悲しく思わせなかった。




「Aちゃん」




顔を上げて不思議そうな顔をする彼女の頭を優しく撫でる。


そうすれば彼女は、気持ちよさそうに満月の様な黄色の左目を細めさせた。


成長して見えても、そういうところは少しも変わっていない。


高杉君にはよく、「猫みてェ」って言われていたっけ。




「それじゃあ、お姉ちゃん。そういう諸々の書類とか記録がどこに置いてあるのかって、分かる?」


「えぇと……基本的には、お義父様の部屋じゃないかしら。後は、現場を仕切っているお義父様の部下が持っているとか」


「やっぱそうだよね。ありがとう」




真選組副長補佐、吉田A。


最初に新聞でそれを知った時は、凄く驚いたし、凄く嬉しかった。ずっと侍になりたがっていたのを知っていたから。


でもそれと同時に、凄く心配になった。




小さい頃からどんな大人にも負けていなかったAちゃんだから、更に稽古して、更に強くなっているんだろうな、っていうのは分かっていたけど。


その時まだ彼女は14歳だったから。


大怪我でもするんじゃないか、死んでしまうんじゃないか、って。




でも今の生き生きした表情を見て、ああ、良かったねって、純粋にそう思えた。


先生が居なくなって、取り戻す為に銀時や桂君や高杉君まで居なくなって、それでもこの子が笑っていてくれて。


初めて会ったあの時は、ビックリする程の無表情だったのに。




「Aちゃん」


「なぁに?」


「良かったね」




何の事か分かっていないような表情に、ふふっと笑う。


良かったね、Aちゃん。

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ゆず(プロフ) - ももさん» はい、頑張ります! (2020年4月17日 14時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ゆずさん» 全然、大丈夫です!これからも頑張ってください!応援してます! (2020年4月17日 11時) (レス) id: 3ad4efd6ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - ももさん» 教えてくださって本当にありがとうございます! 直しました。ちょっと台無しですね・・・、本当にありがとうございます。 (2020年4月17日 10時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 突然失礼します。ページ39の四葉が過去を振り返り終わった2文目、恐らく「銀時に惚れた」と書きたかったのでしょうが、「銀魂に惚れた」になってますよ。 (2020年4月17日 0時) (レス) id: 3ad4efd6ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - ゆいさん» ありがとうございます! 思っていた以上に四葉が皆さんに好かれていて本当に嬉しいです。期待に応えられるよう頑張ります! (2020年4月15日 19時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず | 作成日時:2020年3月21日 18時

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