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瑠璃色の桜篇/桜を何回見られるか ページ20

「お姉ちゃん!!」




屯所から帰宅してすぐ、私は使用人達を振り切りお姉ちゃんの部屋へ突撃していた。


総悟の部屋じゃないのに癖でノックもせずにドアを開けると、驚いた様子のお姉ちゃんと目が合う。




「どうしたの? Aちゃん」


「訊きたい事があって」




昨夜と同じ様に、ベッドに並んで座る。




「初日にさ、お姉ちゃん、言ってたでしょ。『戻らない』って。何で?」




単刀直入に訊けば、お姉ちゃんは悲しそうに微笑む。


私から目を逸らして、どこか遠くを見つめた。




「……言わなきゃ、ダメ?」




こんなに弱々しいお姉ちゃんの声を聞いたのは、これが2回目だった。


いつもの凛とした雰囲気が無くなって、まるで小さい女の子みたいな声。




……だけど。




「ダメ。教えて」




私はお姉ちゃんを見据えて、キッパリ言った。




「お姉ちゃん、私が諦め悪いの知ってるでしょ。教えてくれないと、何回も訊くよ。絶対にここから連れ出して、銀ちゃんの所に帰らせるよ」




そう言うと、お姉ちゃんは仕方なさそうに息をつく。


それから、また悲しい笑顔を浮かべた。




……やめて。


そんな悲しい笑顔、見たくない。


昔みたいな、見てるこっちまで笑顔になっちゃうような、綺麗な笑顔が見たいの。




そんな心の声が伝わるワケもなくて、お姉ちゃんは悲しい笑顔を浮かべたまま、私に目線を戻した。




「Aちゃん、覚えてる? 私が桜を嫌いって言ったの」


「……うん」




何歳の時かは忘れた。


だけどそんな会話をしたのは覚えている。


我ながら記憶力が良い。




「理由は確か……『数えちゃう』だっけ?」


「えぇ。何を数えちゃうのか、言ってなかったわよね」


「うん」




秘密だってはぐらかされた。




「数えちゃうのよ、私。桜を見ると。『あと何回桜を見られるか』を」




……どういう事?

瑠璃色の桜篇/最後の桜→←瑠璃色の桜篇/諦めないのがアイデンティティ



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ゆず(プロフ) - ももさん» はい、頑張ります! (2020年4月17日 14時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ゆずさん» 全然、大丈夫です!これからも頑張ってください!応援してます! (2020年4月17日 11時) (レス) id: 3ad4efd6ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - ももさん» 教えてくださって本当にありがとうございます! 直しました。ちょっと台無しですね・・・、本当にありがとうございます。 (2020年4月17日 10時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 突然失礼します。ページ39の四葉が過去を振り返り終わった2文目、恐らく「銀時に惚れた」と書きたかったのでしょうが、「銀魂に惚れた」になってますよ。 (2020年4月17日 0時) (レス) id: 3ad4efd6ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - ゆいさん» ありがとうございます! 思っていた以上に四葉が皆さんに好かれていて本当に嬉しいです。期待に応えられるよう頑張ります! (2020年4月15日 19時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず | 作成日時:2020年3月21日 18時

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