瑠璃色の桜篇/新情報 ページ12
「お、そういえば」
部屋に入ってきた太陽を脚に乗せて渋々書類を書いていたら、トシが突然思い出した様に声を上げた。
顔を上げると、心配そうな、気まずそうな瞳と目が合う。さっきまであんな冷たかったのに、どうした。
こっちが心配になって、太陽を顔の高さに持ち上げてその前足を動かし「どうしたにゃ」とアテレコすると、さっきの冷たい視線に戻る。0と100しか無いのかよ。
「山崎が報告してきたんだが、桜庭家に雅っつー長女が居たってのは本当みてェだ。それがお前がどうかは別としてな」
「だから私だって。記憶あるんだって」
「分かった分かった。で、その雅なんだが、桜庭華夜の連れ子だって噂がある」
「……連れ子?」
眉を潜めて首を傾げた。
名家の嫁にあるまじき噂だな。
「ああ。桜庭華夜は、冬彦と結婚する前に別の野郎の妾だったらしいんだ。その野郎との間に生まれたのが雅なんだと」
妾、って言う時、一瞬トシの顔が歪んだ。
それに気付かないフリをして、私は口を開く。
「でも私、兄貴居るっぽいんだけど。千景っていう」
「冬彦は1回嫁さんに先立たれてるんだよ。その嫁さんが産んだのがソイツなんだろ」
ああ、だからか。
華夜と私はカラーリングとか一緒だったけれど、冬彦の方の片鱗が全く無いなって思ってたんだ。
逆に千景は、冬彦と鼻とか目元とかが似ていたけれど、華夜とは全く似ていなかった。
中々複雑な家庭である。
「確かに、顔の感じとかそうかも。本当なんじゃない、その噂。でもそしたら誰なんだろ、私のお父さん」
「そこまでは分からねェ。この際だから出生について気になる事は全部調べちまえ。調べさせるか?」
「……うん」
私にはもう家族も居場所もあるし、って今まで考えた事が無かったけど、こんな状況になって、気になるって気持ちが増してきていた。
「じゃあ山崎に調べさせる」
「あ、でも桜庭家の方優先してよ。早く帰りたいから」
「分かってる」
少し焦って言えば、苦笑したトシがポンポンと頭を撫でてきた。
むぅ……完全に妹みたいに思われてるな、私。
嫌ではないしどっちかって言うと嬉しいけどさぁ、私一応貴方の補佐ですよ?
いやまぁ、小さい頃から一緒だからだろうけども。
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ゆず(プロフ) - ももさん» はい、頑張ります! (2020年4月17日 14時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ゆずさん» 全然、大丈夫です!これからも頑張ってください!応援してます! (2020年4月17日 11時) (レス) id: 3ad4efd6ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - ももさん» 教えてくださって本当にありがとうございます! 直しました。ちょっと台無しですね・・・、本当にありがとうございます。 (2020年4月17日 10時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 突然失礼します。ページ39の四葉が過去を振り返り終わった2文目、恐らく「銀時に惚れた」と書きたかったのでしょうが、「銀魂に惚れた」になってますよ。 (2020年4月17日 0時) (レス) id: 3ad4efd6ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - ゆいさん» ありがとうございます! 思っていた以上に四葉が皆さんに好かれていて本当に嬉しいです。期待に応えられるよう頑張ります! (2020年4月15日 19時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2020年3月21日 18時