わたの原

死亡フラグに気をつけろ ページ2

世の中には死亡フラグというモノが存在する。


死を匂わせる台詞、状況(シチュエーション)を指したもので、『俺の代わりに金魚にエサをやっといてくれないか』などという台詞がそれに当たる。




フラグがたった後、間もなく男は敵組織に決死の戦いを挑み命を落とし、女は泣きながら金魚にエサをやる事となる。


これなどはわかりやすい例で、他のシチュエーションとしては悪い奴がイイ奴になるとアブないというモノもある。




今までの悪行を悔い改めまっとうな道を歩み出した男。


仕事帰りにガラにもなくケーキ屋なんぞに立ち寄り、「いっけね、マヨネーズトッピングしてもらうの忘れてた」なんて言って隣の幼馴染に呆れた顔をされたりしたら、




ドン




いよいよ死は近い。





突然の衝撃に、亜麻色の髪の青年がケーキの箱を落とす。


黒髪の少女が目を瞠る。


ケーキの箱に、赤い液体が垂れ落ちる。




「真選組１番隊隊長、沖田総悟」




ついさっき彼にぶつかった短い髪のその少女は、そう言ってクルリと振り向いた。




「父上の仇、しかととらせていただきました」




誰某の恨みなのか……そんな事は、問いただす気にもなれない。


それを問うには、男はあまりにも多くの人を傷つけてきたから。




たとえ改心しようとその罪は消えない。


俺だけ幸せになろうなんざ、虫のイイ話だったんだ。


男は自嘲じみた笑顔を浮かべると、静かに地面に倒れていった。




______そして、そこから女の首を足でクリンチし、




ドスン




女は地面に叩きつけられたのであった。


ラッキーな事に男は死ななかった。




「オイ、どうしてくれるんでい。ケーキがメチャクチャじゃねーか」




何故なら俺は、




「せっかくタバスコブチ込んで土方(バカ)どもに食わそうと思ったのに」


「私が心配かけたお詫びにって買ったケーキだよね？？」



俺は刀の刺さったタバスコをヒラヒラさせる。




最初っから、イイ奴だったからだ。

理由 ３→←知らぬが仏

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