【東京喰種】銀扇

第41話 ページ47

トーカ「ヒナミが、どこにも居ないんです。」

え。


奥の方で食器の割れる音がした。

カウンターの奥から出てきたのは金木だ。



金木「ヒナミちゃんが…？」


芳村「私は店内を見ておくから君たちは
　 外に探しに行きなさい。

Aちゃんは少し待っていて。

すぐに終わるから」


トーカ「Aは後で合流だ。

行くぞ、金木。」


二人は言い終わらないうちに
店を出てしまった。

　

芳村「済まないね。呼び止めてしまって。

　 でもこれも一刻を争う事態なんだ。」



「Aちゃん。


君にも追手がすぐそこまできている。

君が２０区にいることが
ばれてしまったみたいなんだ。


すまない。



　
…早く、逃げるんだ。」


A「でも… なんで今更…？」


芳村「そのうちきっと大きな動きがあるんだ。


どこかの喫茶店でも
潰すんじゃないかな？」

　

本人は冗談のつもりなのだろうが笑えない。


A「なんでここなんですか…？」



芳村「やれやれ。君もいい加減薄々
　 気づいているだろう？

　
私は普通の喰種と少し違うものでね。」



そう言って芳村さんは、

その細い眼に赫眼を現した。



時々現れる気迫に後になでつけた
灰髪も相まって、
その姿は一瞬 “梟” のように見えた。




まさか…あの“梟”…？



「私の存在に“白鳩”は薄々
気づいているようだよ。

全く優秀な人たちだよ。」



「『君』はそれの為の戦力となりうる。

　なにせ君にはあんな経歴があるからね。

　

…きっと無理にでも君は
動かなきゃいけなくなる。」

　

芳村「そうなる前に、逃げるんだ。

今回はCCGの“死神”がいる。


私でも迂闊に手を出せないんだよ。」



有馬貴将。

貴方は私の人生の大事な選択でいつも現れる。



芳村「ヒナミちゃんを探しながら
逃げることだってできる。


とにかくここを離れるんだ。」



私が、初めて部屋を貰ったところ。

私が、初めてただいまと言った場所。

私が、初めて姐さんと呼ばれた所。



あんていく。




A「分かりました。

　 荷物は服とか本とかわらび餅とかは
　 持っていっちゃいますよ。」

あと。


「コーヒーを一杯、頂けないでしょうか？」



《《《《《《《《《《




芳村「君の過去、焦らしが多すぎて
　 何が何だか分からなくなってるね。


…ずっと黙ってるの辛いしばらしていいかな？」




A「ははは…。

　 やめてください…。」

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