【東京喰種】銀扇

第23話 ページ28

そんな感じで厨房と店とを
行ったり来たりしていると、
あっという間に閉店時刻になった。





芳村「今日はお疲れ様。

　 Aちゃんも頑張ってくれた
　 みたいで嬉しいよ。」




じゃあ、今日はこれで解散で。



店員のみんなはばらばらと帰って行った。





トーカ「お疲れ。

　 初めてにしては上出来じゃない？


　 あんたのブラックコーヒーへの
　 執着にはさすがに
　 ちょっと引いたけどさ。」



ソレハ、ワタシノセイジャナイ…



キラピカスマイルの亜門さんと永近さんを
思い出して発狂しそうになるが、
なんとか抑える。






じゃあおやすみなさい、と
トーカは部屋に入っていった。








翌日もその次の日も、
そんな風に平和に終わっていった。





相変わらず金木さんはリゼさんが来るのを
忠犬ハチ公のように待っているし、
リゼさんも毎日獲物の様子を見に来ている。






そんな日々が1ヶ月くらい続いた朝だった。






ドガン!!!!!バリン!!!!!



私は朝早く、隣の部屋でした大きな音に
叩き起こされた。





何事だ。





寝間着のまま廊下に出ると、
隣の暗い部屋のドアが空いていた。







近づくと突然、
にょっきりとドアから顔が出てきた。






???「誰だ？あんた。 新入りか？」



出てきたのは整った顔立ちの少年だった。

　



眠そうな大きな瞳に不機嫌そうな口元、
ボッサボサの髪に服は黒ずくめ。


しかし身長は小さめで可愛らしい風貌だ。







私は、彼が将来ものすごいイケメンに
なると確信した。








???「悪ィな。

　 俺は絢都っていうんだが。


　 ちょっとこの部屋に忘れ物しちまってな。


　 店長やトーカが起きてきたら面倒だから
　 このことは黙っといてくれないか。




　 あんたはなんていうんだ？」



Aですよ。




アヤト「ふーん、Aか。

　 いい名前だな。

　 親に感謝だな。」



どこかで聞いたことのある台詞だ。





アヤトくんは本棚から本を取り出し始めた。




あの日、格闘技の本の間に
ちょくちょくあった漫画である。




10冊ほど取り終え、最後にパソコンを
取ると、彼は窓から出ようと机に足をかける。



その横顔は、誰かにそっくりだった。





……って窓割れてるじゃん。






その時、廊下で怒鳴り声がした。




「アヤトぉ！」






それはトーカの声だった。

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