吉原炎上篇/神威と鳳仙 ページ11
吉原の中でも一際大きな建物の、一際広い部屋で。
「これはこれは、珍しい客人で」
両隣に遊女を控えさせた男は閉じた扇子で首をペシッと叩いた。
「春雨が第七師団団長、神威殿」
凄い食欲で白米を口にかき込むのは神威。
「やっぱり地球のゴハンはおいしいネ、鳳仙の旦那」と応えた彼は、Aとの戦いでついた傷に包帯を沢山巻いている。
「春雨の雷槍と恐れられる最強の部隊、第七師団。若くしてその長にまで登りつめた貴殿がこんな下賤な所に何の御用ですかな」
「人が悪いですよ、第七師団つくったのは旦那でしょ。めんどくさい事全部俺に押しつけて、自分だけこんな所で悠々自適に隠居生活なんて、ズルイですよ」
笑う神威に、鳳仙は片眉を上げた。
「人は老いれば、身も
扇子を開くと、自身を扇ぎながら少し笑った。
「若いおぬしにはわからぬか」
「いえ、わかりますよ」
「ほう。しばらく会わぬうちに飯以外の味も覚えたか。酒か? 女か? 吉原きっての上玉を用意してやる。言え」
「じゃあ……日輪と1発ヤラせてください」
神威の言葉に、鳳仙が手をピタリと止めた。
「手土産もこの通り用意してあるんです。きっと喜んでサービスしてくれるでしょ?」
神威が後ろに親指を向ければ、襖が開いて縄で縛られた晴太が現れる。
「嫌ですか。日輪を誰かに汚されるのは。嫌ですか。この子に日輪を連れ去られるのは」
何も答えない鳳仙に、ニコニコしたまま神威が言った。
「嫌ですか。日輪と離れるのは」
やっと、鳳仙が口を開く。
「少し黙るがいい、」
「年はとりたくないもんですね」
神威がケラケラと笑った。
「あの夜王鳳仙ともあろうものが、全てを力で思うがままにしてきた男が、たった1人の女すらどうにもならない。女は地獄、男は天国の吉原? 違う。
腰を浮かせると、鳳仙へと歩み寄る。
「神威、黙れと言っている」
「誰にも相手されない哀れなおじいさんが、カワイイ人形達を自分の元につなぎ止めておくための牢獄」
お膳から酒を持ち上げると、鳳仙の持つお猪口にトプトプと注いだ。
「酒に酔う男は絵にもなりますが、女に酔う男は見れたもんじゃないですな」
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ゆず(プロフ) - %さん» ありがとうございます! カッコいい女の子を目指しているので、そう言っていただけて嬉しいです! (2019年12月20日 0時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
% - 続編おめでとうございます!夢主ちゃんが男前な感じがして凄くドキドキさせられてます!更新頑張ってください!応援してます! (2019年12月19日 21時) (レス) id: 02aec80553 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年12月16日 0時