真選組動乱篇/護るもん ページ36
万斉は銀時突かれたまま、自分の刀で銀時の肩を刺した。
「白夜叉ァァ!! 貴様は何がために戦う! 何がために命をかける!」
万斉が声を荒げる。
「最早、侍の世界の崩壊は免れぬ。晋助が手を下さずとも、この国はいずれ腐り落ちる。ぬしが1人あがいたところで止まりはせん!!」
血を出しながら、それでも憎しみの篭った声で。
「この国に護る価値など最早ない! 天人に食いつくされ、醜く腐る国に潔く引導を渡してやるが侍の役目。この国は腹を切らねばならぬ!!」
万斉の叫びに、銀時が顔を歪めながらも笑う。
「死にてーなら1人でやれ」
「……坂田銀時。貴様は亡霊でござる」
万斉も口の端を吊り上げる。
「かつて侍の国を護ろうと、晋助らと共に戦った思い……それを捨てられず妄執し、とらわれる、生きた亡霊だ」
肩に刺したままでいた刀を持つ手に力を込める。
「ぬしの護るべきものなど、もうありはしない」
肩を斬ろうと、刺したまま刀を持ち上げた。
「亡霊は、帰るべき所へ帰れェェェェ!!」
銀時の身体が落ちていく。
ヘリコプターから身を乗り出しながら、万斉が「
途端、弦がビキンと張られる。
刀に、ヘリコプターに、からみつく。
「オイ……兄ちゃん」
線路の上、土煙の中、弦をからみつかせた木刀が見えた。
「ヘッドホンをとれ、コノヤロー」
銀時が、立っていた。
撃ち込まれる銃弾を物ともせず、「耳の穴かっぽじってよぉくきけ」と言う。
「俺ァ、安い国なんぞのために戦った事は1度たりともねェ。国が滅ぼうが侍が滅ぼうが、どうでもいいんだよ、俺ァ昔から」
方向転換をした銀時が、もう今日は散々酷使した腕にグッと力を込める。
「今も昔も、俺の護るもんは何1つ、」
腐れ縁の連中とギャーギャー騒いだ日々に、その笑顔に、信念。
「変わっちゃいねェェ!!」
ヘリコプターへとからみつく弦を纏わせた洞爺湖を、思い切り前に振る。
大きな音と爆発を伴って、それは線路に落下した。
67人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
哀(プロフ) - なるほどです!ありがとうございます! (2019年12月17日 18時) (レス) id: d4e761c72f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 哀さん» すみません! 次巻は用意をしただけで、まだ1ページも書けていないんです。でき次第すぐに公開します (2019年12月17日 16時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
アスミ - パスワード教えて欲しいです! (2019年12月17日 15時) (レス) id: 41e9138099 (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - はじめまして!とても面白かったです!次の作品も読んで見たいのでパスワードを教えて頂けると嬉しいです! (2019年12月16日 16時) (レス) id: d4e761c72f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - %さん» 結構長いのに、2日で読んで下さるなんて…! とても嬉しいです。頑張ります! (2019年12月15日 22時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年11月29日 17時