寂しさに

パンダダ ページ3

アイスを食べ終わった私は、総悟と彼の部屋でテレビを見ながらダラダラしていた。


特に見たいものも無かったのでただのニュースである。




「銀行強盗かー、大変だー」


「棒読みじゃねェか。それよりA、土方の野郎は？」


「心配ご無用、原田と見廻り行ってる」




なので私と総悟に仕事をやらせるような人は今屯所内に居ない。


テレビを見るのにも飽きた私が総悟の部屋にも関わらず寝る体勢に入ったところで、いつでも通信が出来るよう各部屋に備え付けられたスピーカーから、近藤さんの声が聞こえてきた。




『えー、諸君聞こえるか。つい先程星海坊主が来て俺達に忠告をしてくれたので、それを伝えようと思う』


『なに……星海坊主が？ なんだってそんな大物が、グスッ』


『アレ？ トシ何かあったのか？』


『なんでもありませんよ、局長』




今のトシと原田の声だよね。




「ねぇ総悟、さっきの２人の声涙声じゃなかった？」


「『えいりあんＶＳやくざ』でも観てたんじゃねェの」


「トシも見廻りサボってたか……」




私も観たかったな、映画。


そう零すと、じゃあ今度２人で行くかと誘われたので頷いといた。




『江戸に第一級危険生物が入りこんだとのことだ。寄生型えいりあん、ほうっておけば大変なことになるぞ』


『えいりあん？……えいりあんがなんぼのもんじゃあああ！！ ここは侍の国だぞォォ！！』




さっきの涙声から一転、怒り狂ったような声に。




『オイ、トシどうした？何かあったのか』


『竹内アニキの敵じゃあああ！』


『誰だ竹内さんって。何かあったのか？ 竹内さんに何かあったのか？』


『ミナミの帝王じゃああ！！』




確定だ、絶対映画観てた。




『なんだかよくわからんが、今からいうことをよくきいてくれ。寄生型えいりあんは人間から犬猫、なんにでも寄生する。知能は低いが、食料調達のためになんでも狩る危険な奴だ！ 寄生された者を判別するには顔を見るのが早い。パンダを探せ！ 寄生された者の目の周囲にはクマのような黒いアザが出る。いいか、みんな。パンダを探すんだ。被害が出る前になんとしてもくいとめるんだ。パンダだ、パンダダじゃないぞ、パンダだ。いや、今の「だ」はそーゆう「だ」じゃなくて』




近藤さんがよく分からないループに陥ったその時、見ていたニュースで銀行強盗の犯人の顔が映し出された。


犯人の顔には酷いクマがあって、私は総悟と同時に言った。




「「パンダダ」」

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