寂しさに

ちょっとよく分からない ページ4

大江戸信用金庫に次々と真選組のパトカーが到着する。


総悟がメガフォンでえいりあんへ呼び掛けた。




『えいりあん、お前は完全に包囲されている。無駄な抵抗はやめて、おとなしく投降しなさい、えいりあん。故郷(くに)のお袋さんも泣いてるぞ！ そんなえいりあんにするために産んだんじゃないってな』


「どんなえいりあん？」


「お前そのベタな台詞言いたかっただけだろ」




山崎と私のツッコミにも耳を貸さず、総悟は誰かに向かって言った。




「えいりあんだろーが人間だろーが母ちゃん泣かす奴は最低だ。ねェお袋さん、なんか言ってやってください」


「えっ？ 来てんの？ お袋さん来てんの？」




総悟の言葉を真に受けて彼の目線を追う隊士達。


だけどパトカーから出てきたのは、えいりあんの着ぐるみを着た近藤さん。




「お母さん、もうしらないから。お母さん……もう３年前のあの時から息子はいないものだと思って、」




ガシャン！！ ドサッ




「局長ォォォォォ！！」


「えいりあんがなんぼのもんじゃーい！」


「なんぼのもんじゃーい」


「いや、えいりあんじゃねーからコレ！！」




……近藤さんはトシと原田のパトカーにはねられた。


近藤さんを取り囲んで「しっかり！」とかやっていると、銀行のガラス戸に人影が写る。




「誰か来る！」


「誰か出てくるぞォ！！」




「かまえ！！」という私の言葉に合わせて隊士達がバズーカを撃つ準備をするけれど、出て来たのは、




「いいからこいってんだよ。アレだ、マロンパフェ食わしてやっから。なっ？」


「ちょ、離してヨ。離れて歩いてヨ」


「なんだ、お父さんと歩くのが恥ずかしいのか！？ どこだ！！ どの辺が恥ずかしい？ 具体的に言え、お父さん直すから！」


「もうとり返しのつかないところだヨ」


「神楽ちゃん、人間にはとり返しのつかない事なんてないぞ！ どんな過ちも必ずつぐなえる！」


「無理だヨ〜、１度死んだ毛根は帰ってこないヨ〜」


「すいません、僕もマロンパフェいいっすかね〜。いや、ちょっと待て、やっぱフルーツパフェにしようかな？ どうしよっ。……あれ、A何やってんだ？」




星海坊主と思われる禿げた男に腕を引かれつつ抵抗する神楽と、通常運転の銀ちゃんと新八だった。




「…………なに？」

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