甘味は世界を救う ページ9
「は〜・・・」
「苦労してんだなぁ、お前も」
「そう思うなら何か奢って下さいよー!」
「悪りぃな、俺ァ今金欠だ」
「今じゃなくて万年の間違いでしょ」
「ンだと!?」
行きつけの甘味処へ休みに行くと、そこには既に先客が。
見知った天然パーマが見えた私は、隣に座るや否や愚痴を零した。
「旦那は何か無いんですか?私ばっかり、なんか悪いですし」
「お、言ったな?」
「あ、やっぱ良いです、すみません」
「お前なぁ!!」
旦那をからかうのは楽しくて、笑みが零れる。
そんな私を見て怒る気が失せたのか、「ったく」とボヤく様に呟いてから団子を口に入れた。
こういう実は優しいところが一緒に居て楽な1つの理由だろう。
後は、気を遣わなくて良いところとか。
「・・・あれ、てかお前サボり?」
「今更何言ってるんですか?総悟の仕事押し付けられそうになったから、非番なのを良い事に抜け出してきたんです」
「総悟、ねぇ」
「・・・何です?」
私が総悟の名前を出した途端、旦那が意味ありげにニヤッとした。
嫌な予感がして、すぐにでも逃げられるようにとわらび餅を口に押し込む。
「篠葉って、沖田クン好きなの?」
「・・・は?」
呆気に取られて、間抜けな声が出た。
ガードしていたところと全く別の場所にボディーブローを入れられた気分だった。
「いやいやいや」
身体の前で手を振って、苦笑い。
「そんなワケ無いじゃないですか。旦那にしては面白くない冗談言いますね」
「冗談じゃねェけど?」
「・・・殴ってほしいんですか?」
「遠慮しとくわ」
マジな目をして拳を見せれば、引きつった笑みを浮かべて旦那が身を引く。
それから、似合わない真顔になった。
「・・・でもマジな話さ、お前の話に出てくる奴、8割が沖田クンだぞ」
「旦那にはよく愚痴を聞いてもらうからじゃないですか?」
「俺にゃそうは思えねェけどな」
じゃ、会計よろしく。
そう言い残して、旦那は去って行く。
何だよ、思わせぶりな言葉ばっかり・・・って、あ!!
「あんの野郎!!」
さり気なく代金を私に押し付けた旦那に、いつかパフェを絶対に奢らせてやると誓った。
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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年6月23日 23時