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夢で人の気持ちが分かってたまるか ページ29

本当に土方さん、どうしたんだろうか。


あんなに恐ろしい目をしなくたっていいと思う。




ってか、今総悟どこに居るんだ?




「・・・分からないしいーや」




でも後で土方さんに怒られるのは嫌だから、試しに屯所周ってみて居なかったらそれで終わりで良いだろう。


わざわざ外まで行くのは面倒だし。




さて、まずは総悟の部屋かな。




「総悟、居る?」




奴の部屋の前に立って、そう声をかける。


返事は無かったから、居ないか寝ているかのどちらかだろう。


もし寝ているのだとしたら他の場所に捜しに行くのはただの無駄足なので、襖を遠慮なく開けてみた。




「・・・居るし」




壁に背中をもたらせて、いつもの腹立つアイマスクを付けて寝ている。


起こすか起こすまいか迷って、起こさない事にした。


下手に起こして報復くらいたくないし。




「あ」




ふと閃く。


あの寝顔に悪戯でもしてやろうか。




足音を立てないように部屋に足を踏み入れて総悟の前にしゃがむ。


すぅすぅと規則正しい穏やかな寝息が聞こえた。




・・・にしてもコイツ、顔良いんだよなぁ。




真選組1の剣の使い手だし、性格さえ良ければ・・・いや、後ほんのちょっとでもマシなら・・・。


つくづく勿体ないと思う。


きっとそれが原因なのだろう、街中で女にキャーキャー言われている割に彼女が出来た事が無いのだ。




って、私は総悟の寝顔を見にきたワケじゃないんだ。


気を取り直して、机の上に置いてあった筆を取る。


あまり使われた様子の無いそれに墨を付け、さて何を書いてやろうかと考えていると。




「・・・A」


「!?」




またすぅすぅ聞こえた寝息に、はぁ〜と脱力する。


何だよ寝言かよ。


それにしてもどんな夢見てんだコイツ。




気になって顔を覗き込むと、久しく見ていない穏やかな表情だった。




「・・・何コイツ」




実際に私と一緒に居る時はこんな顔しないクセに。


夢の中じゃするってどういう事よ。




はぁ。


や〜めた。




筆や墨を元に戻して、よいしょと立ち上がる。


ジトッとした目で総悟をもう1度見つめた後、部屋を出た。

やっぱり二度あることは三度あった→←負の三拍子



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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年6月23日 23時

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