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三日月 2 ページ5

「……それじゃあ、Aちゃん。ウチに来るか?」


「……え?」




そこからは速かった。


総悟や土方に事情を話して説得し、近藤さんの道場まで案内され、部屋を割り当てられて。


あまりの急展開に、涙も引っ込んでしまった。








そして、夜。


中々寝付けずに、私は庭に出ていた。




辺りは静まり返っていて、聞こえてくるのは虫の音だけ。


夜空には、綺麗な三日月が輝いていた。




「……皆も、この月見てるのかな」




そういえばお兄は、よく月を眺めていた。


どこか儚げな彼にそれはとてもよく合っていて、まるで自分の為だけに月を空に浮かべているようだと思ったのを思い出す。




また涙が出てきそうだったから、先生に買ってもらった三日月型の髪留めを触って、気持ちを落ち着かせる。




大丈夫、私は独りじゃない。


ウチに来るかと言ってくれる人が居た。


優しく看病してくれる人が居た。




同じ空の下には、お兄も銀ちゃんもこた君も、お姉ちゃんも先生も居る。


もう2度と逢えないワケじゃない。




「よしっ!」




明日からまた、稽古開始だ。


お兄達と一緒に戦えるくらい、強くなりたい。

チビ→←重なるその手



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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年6月18日 22時

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