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月日が流れ、
俺は高校生になった。
薮くんは、全寮制の高校を目指し、ここから出て行った。そして今は、隣県の大学に通っていると聞いた。
俺も、高校を卒業したらもう施設を出て、紹介してもらうところで働こうと思っている。
もう、恋心は萎んでいた。
薮くんのことを懐かしいと思うことはあっても、恋しいという感情とは別物な気がする。
花火のように勢いよく輝いても、すぐに気づく。燻る煙が教えてくれる。恋心なんて儚いものだと。
それでも、
ヨーヨーを見ると、
あの日の薮くんを思い出さずにはいられなかった。
今日は近所で夏祭りがあっている。
小さい子たちは喜んで出かける準備をしていたが、俺1人年が離れているからついていくのは恥ずかしかった。
3時頃から出かけるというみんなに、夜ご飯を作って待っておくよ、と留守番を引き受ける。
「大貴、戸締り気をつけてね。隣の県だけど、高校生の男の子が何人か殺されたでしょ?事件の犯人捕まってないんだから」
施設長が俺に心配そうな目を向ける。
「わかってます。もう俺も高校生なんだから、心配しすぎ!じゃあ、綿飴お土産によろしくなっ」
俺は心配そうな施設長と、意気揚々と出かけていく子供たちに声をかけた。
今日は俺の好きなオムライスにしよう。みんな出店で色々食ってくるはずだから、量は少なめで構わない。
玉ねぎを刻む。料理は得意でも苦手でもないけれど、みじん切りという作業においては大好きだ。
つるんと皮を剥いた、白色のそれ。
先のほうは薄緑で、均一に繊維が入っている。
ザク、ザク、
ザク、ザク、切り刻む。
「あの、すみません」
玄関から、声がした。
「はーい…え、」
そこにいたのは、
「…大ちゃん」
薮くんだった。
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まや(プロフ) - ちちちさん» ちちちさん、コメントありがとうございます!よくしろくまさんのページでお見かけしていますちちちさんですよね?|´-`*)遊びにきていただけてたなんて嬉しいですっ! (2019年4月27日 20時) (レス) id: b929bba7e5 (このIDを非表示/違反報告)
ちちち(プロフ) - ときめきと切なさと背徳感にキュンとしました!最後のゆとひかのゆーとの色気ったら! (2019年4月26日 19時) (レス) id: 666edffd2b (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - しろくまさん» 大好きなしろくまさんにきゅんとしていただけたなら幸せですっ(´∩ω∩`*)ありがとうございます! (2019年4月26日 1時) (レス) id: b929bba7e5 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - まや様、Twitterのやぶひかお話しを上げて下り、ありがとうございます。改めて読ませていただいて、きゅーん(//∇//)やっぱりまや様の学園物は鉄板ですね…!! (2019年4月25日 8時) (レス) id: f22c03c885 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - ねね子さん» 来て下さってありがとうございます(*´˘`*)どうも薮くん病み気味です(笑)ねね子さんに褒められるなんて嬉しすぎます〜(//∇//) (2018年9月30日 22時) (レス) id: 66cf309f23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まや | 作者ホームページ:http://ma-no homepage
作成日時:2018年6月5日 21時