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ジャケットを肩にかけ、そして紺色のファー付きミニタリーベレーを右垂れ目にするイギリス式で被り、左手に同じ紺色のハンドバッグを持って、準備完了である
『どうかな?敦くん。昨日の私とはまた違った印象だろう?』
「え?!あ、えっと、その、ス、素敵です……」
『ふふっ、困らせてしまったようだね。けれど、褒めてくれてありがとう。
さて、君も準備しなければね。春先はまだ冷える。このブランケットを羽織って行きなさい』
本日の出来栄えの感想を敦に求めるが、女性を褒めることに慣れていない敦は言葉を詰まらせてしまう
それに気を悪くすることも無く、傍にかけてあった同じ紺色の無地のブランケットを彼の肩に羽織らせ、しっかり上半身をそれで包んでやると、彼女は満足そうに笑った
久しぶりに体を隅々まで清め、清潔な服を身にまとい、温かい気遣いまで与えられた敦は、もう限界だった
体を包むブランケットを握りしめ、目に涙を浮かべる
これが、今まで夢見た温かい家庭である
孤児院を追い出されて、路頭に迷っていた昨日の自分が嘘のようだ
『………そうだね。君はヨコハマの未来を背負う若き子ではあれど、まだ親に守られるべきいたいけな子供でもある。
こちらにおいで』
そう言って、彼女は両手を広げた
敦は戸惑う素振りを見せたが、1歩踏み出したが最後、その足は彼女の腕の中へ駆け出していた
「………ひぐっ………ぁ………あ"ぁッ……うぅ……」
『よしよし敦くん。地獄にいながら、よくここまで生き延びてくれたね。生きる希望を失わないで居てくれて、ありがとう』
敦の背に回る腕の、なんと優しいことか
中島敦は、生まれてから1度もこんな温かい温もりを感じたことは無い
この世に本当にそんなものがあるのかもわからなかった
『おやおや、ベディヴィエールが整えたその可愛らしい顔が台無しじゃないか』
「……っ、ご、めんなさ」
「
『おぉ、それもそうだな。すまないね、敦くん。君は謝罪も感謝もしなくて良いのだよ。母の愛と言うのは、そういうものなのだからね。君は好きなだけ泣いていいし、好きなだけ我々を困らせて良いのだ』
「っ、あ"ああぁぁぁぁぁぁ…………!」
異能の虎は巨体なれど、今母の腕に抱かれる様は、まるで小虎の如く、愛らしい顔をしていた
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ニコニコマーク! - ふぅ…敦くん?ちょーっとそこの位置代わってもらえないかな?代わらなくてもいいから取り敢えず敦くん達が座っている席の近くの壁になりたい…今すぐ二次元に行きたい… (2022年12月6日 6時) (レス) @page43 id: 23150a6704 (このIDを非表示/違反報告)
ニコニコマーク! - すみません…今思ったんですけど、坂口安吾の異能力が『堕落論』だった気が… (2022年12月5日 17時) (レス) @page4 id: 23150a6704 (このIDを非表示/違反報告)
瀬羅 - 攻め…?攻め⁉︎攻めと言いましたか作者様。マジでございますか?スゥーーーーーー、フゥーーーーーーーーーー、控えめに言って神ですか。神でしたね!そうでした!無理のない程度に頑張って下さいね! (2022年11月17日 16時) (レス) @page48 id: 3328415a9f (このIDを非表示/違反報告)
ツバキ - こんにちわ 好きです。 かっこよすぎません?????強い女性好きです。神に出会ってしまいました!!! 更新待っています が無理はしないように頑張ってください!!!!! 楽しみです! (2022年11月16日 18時) (レス) @page47 id: 7f6eba9c4e (このIDを非表示/違反報告)
瀬羅 - スゥーーーーーーーー…好きです。なんですか、神ですか。神でしたね‼︎無理無理夢主様カッコいい…そして遂にポートマフィアに接触しそ〜!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!更新待ってます!頑張って下さい! (2022年11月16日 16時) (レス) @page47 id: 3328415a9f (このIDを非表示/違反報告)
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