38話 ページ39
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あっという間に退院日。
私の退院日はちょうど日曜だったため、お休みのじんぺーくんが迎えに来てくれた。
研二くんは当直らしく来れないという連絡が来ていた。
「来てくれてありがとう、じんぺーくん。」
『おう。』
私を助手席に座らせると扉を閉めて運転席に移動する。
「そんなにしなくても…」
『怪我人は黙って世話されとけ。』
「もう、じんぺーくんの過保護。」
『お前降ろすぞ。』
「やだやだ有難く甘えさせていただきます!」
『ふっ、最初からそんでいいんだよ。』
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車に揺られながら流れる景色を楽しんでいるとふと運転中の彼が目に入った。
昔から変わらない天然パーマ、綺麗な横顔。
昔よりも太く逞しくなった腕、太くなった首から主張する喉仏、それに男性らしくなった顔つき。
昔から変わらず隣にいてくれた彼だけど、こう思うと少しずつ変わったところがいくつもある。
私の幼馴染みって本当にかっこいいなあ、なんて思う反面、やっぱりいつかは私から離れていってしまうのかな、なんて汚い心。
『んだよ、そんな見て。』
「え、うそ。そんなに見てた?」
『すげえ視線感じた。』
自覚が無かった。
「あはは、ごめんなさい」
なんて笑って誤魔化す。
『それはいいけどよ、何考えてたんだ?』
「そこ聞く?」
『失礼なこと考えてたらどうしてやろうか考えてんだ。
ほら言えよ。』
さすがに本人に言うのは恥ずかしいんだけど。
いや、言わなかった時の方が怖いか…。
「じゃあ言うから、聞かなかったことにしてね」
『…ん』
「じんぺーくんは昔からかっこいいなあって考えてたの。
だからいつか私から離れてっちゃうのかなって考えちゃって、寂しくなってた。
あー、恥ずかしいこと言わせないで。」
私がそう言うといきなり速度を上げて私の家に向かう車。
「ちょ、じんぺーくん!?速くない!?」
そう言っても反応せずに車を飛ばし続けた。
結局、あれからいつもより10分近く速く家に到着した。
車を停めてくれたので、降りようとすると制止されて大人しく待つ。
扉をあけてくれるじんぺーくんが私に片手を伸ばす。
手を取って彼に身を任せながら立てばそのままもう片方の手が私の腰に回ってきた。
腕に力が入り、グッと引き寄せられる。
目の前には彼の胸板。
上を見ると
『おー大胆だな』
なんてほくそ笑む悪魔がいた。
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そば粉(プロフ) - ヨザクラさん» ありがとうございます!!これからもソワソワしていただけるように書いていきます!警察学校組登場まであと少しお待ちください! (2022年6月3日 8時) (レス) @page18 id: 16cd9ffa67 (このIDを非表示/違反報告)
ヨザクラ(プロフ) - とても面白いです!続きが気になってソワソワします!全員にフラグ立ってーーー!!!頑張ってください!楽しみにしてます! (2022年6月2日 9時) (レス) @page14 id: f4c5d262a2 (このIDを非表示/違反報告)
そば粉(プロフ) - ひええそんなこと言ってくださる柑橘類様尊すぎませんか(?)ありがとうございます!!そのお言葉がモチベーションになります!!! (2022年5月31日 0時) (レス) id: 16cd9ffa67 (このIDを非表示/違反報告)
*柑橘類*@馬鹿同盟(プロフ) - えっ尊いですね(?) 応援します! (2022年5月29日 19時) (レス) @page6 id: dcab7e85b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そば粉 | 作成日時:2022年5月27日 11時