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story8. ページ9

ホームから出てみると、近くの木にびすは凭れ掛かっていた。
さっきの服装に加えて黒いハーフコートを羽織っている。
もう冬に近付いているし、この時間じゃ外も寒いか。

私もちょっと、肌寒いかもしれない。





「遅かったですね」

『早めに来たつもりだけど?』

「そうなんですか、じゃあ行きま……」



ひゅううううう。







びすが話していると、少し強めな風がそれを遮った。
より冷たい外気に当てられて、思わず身震いをする。


すると、くしゅんっ なんて言ってくしゃみもしてしまった。





「寒いんですか?」

『あー、ちょっと……』

「仕方ないなぁ。はい、これ着てください」



びすは、自分の着ていたハーフコートを私に渡してそう言った。
でもこれじゃあ、びすが寒くなってしまう。
いくら男だからって、後輩に風邪ひかせるわけにもいかない。



『私は大丈夫だから、びすは着てていいよ』

「今週演目を控えてる人に、風邪ひかせるわけないでしょ。
これくらいの寒さなら大丈夫なんで、Aさんが着てください」

『でも、びすだって招待状出さなきゃだし……』

「それはAさんもですよね。それに、夜想曲サーカスの姫に風邪なんてひかせられない」




またそんな事言っちゃって。
びすだけでなく、みんな口を揃えて私を姫なんて言うけど。
本当に私なんて、まだまだ全然。


多分、びび姉とかみん姉、チョコ姉の方が可愛くて綺麗。
それに、芸だって上手なのに。


でも、これだけ言ってるんだしびすも引く気はなさそう。
ならお言葉に甘えといた方がいいかな。





『ありがと、びす』

「いえいえ」




ハーフコートに袖を通してみると、丈が長くてワンピースのようになってしまった。
アンさんや歌詞さん達に比べれば華奢なびすだけど、
こうして見てみると、やっぱりそれなりに背が高いんだと実感する。




「じゃあ、行きますよ」

『はいはい』






びすが手を差し伸べてくれていたので、その手を取って歩き出した。

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作楽 - 面白いです・・・!続き、楽しみに待ってます!! (2015年1月18日 15時) (レス) id: 3feb68ee3f (このIDを非表示/違反報告)
みーや(プロフ) - 灰猫ノン@ETA静岡1101参戦!!さん» すみません!確認不足でした! (2014年10月19日 0時) (レス) id: 133eb42d85 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫ノン@ETA静岡1101参戦!!(プロフ) - みーやさん» えっと、灯油さんは出させていただいているので……優さんも、という事ですかね?了解です!! (2014年10月19日 0時) (レス) id: 1fdc1852b6 (このIDを非表示/違反報告)
みーや(プロフ) - あの、葉月兄妹って出せますか?(葉月 優、灯油) (2014年10月19日 0時) (レス) id: 133eb42d85 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫ノン@ETA静岡1101参戦!!(プロフ) - かふぇさん» コメありがとうございます!更新頑張ります!! (2014年10月13日 22時) (レス) id: 1fdc1852b6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:灰猫ノン | 作成日時:2014年10月12日 1時

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