【歌い手】ようこそ、夜想曲サーカスへ。【CIRCUS】 (ページ6)

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歌詞さんがドアを開けると、全員がこっちを向いた。
広々とした部屋でも、全員が入ると少し狭いくらい。

その全員が全員、こっちに目を向けるんだ。
ちょっとやめてほしい。

「やぁ、遅かったね」

「どこまで行ってたの？時間厳守っていつも言ってるでしょ」

一人だけ席に座り、頬杖をついているのはアンさん。
そして、カンカンに怒っているのがナノさん。

時間厳守とはいつも言われてるけど、
結構みんな遅刻ギリギリだったりするのに。

……今回は完璧にアウトだったけれども。

『ごめんなさい、ナノさん……』

「……もーいいから、早く始めるよ」

「あは、ナノさんは本当にAに甘いよね」

何とか許しをもらい、いつもの定位置につく。
すると、天月君が茶化したように笑った。

「ナノさんだけじゃなくて、全員Aに甘いもんね」

「待って、俺はカナリアに甘くした覚えはないけど」

逆にluzが私に優しくしてたら、天変地異の前触れかと疑ってしまう。

このメンバーの中で唯一、開演中以外にも私のことを芸名の“カナリア”と呼ぶのも
敢えて私の嫌がることをしているに過ぎないんだろう。

「はいはい、お喋りはそこまでにして。今週の演目、聞き逃しちゃうよ？」

クスクスと笑って話すアンさん。
絶対に遊んでるなーとか思いながら、アンさんの方に目を向ける。

「はい。じゃあ、言うよー？

猛獣使いのvip店長、９６猫、コゲ犬。

空中ブランコの鹿乃、ゆりん。

ジャグリング・玉乗り・自転車乗りのまふまふ、天月。

綱渡りのヲタみん、びびあん、柿チョコ。

ナイフ投げのそらる、ろん。

衣装役のりぶ、伊東歌詞太郎。

そして、

踊り子のカナリア。

以上」

よかった。

やっと選ばれた。

「あ、それと招待状は灯油、びす、りょーくん、A、松下の５人でよろしく」

『多く、ないですか？いつにも増して……』

「今回はね、ちょっとスズム君とまふ君と歌詞君に頑張ってもらってね」

招待状は私も出すのか……。
まぁ、別に全然構わないけど。

ナノさんが私の質問に答えると、まふ君は少し顔を赤くした。
何この生き物ものすごく可愛いんですけど。

「はい、じゃあかいさーん！」

まふ君を愛おしげに見ていると、解散の時間になっていた。
さて、後で松下ちゃんと話さなくちゃ。

招待状のことについて。