story15. ページ16
最初だけ全力で走って、その後ちょっと後ろを振り返ってみると
男はそこに立ち尽くしたままだった。
これなら、大丈夫かな。
そう安心した私は、走る速度を緩めた。
ぱん―――――――――――っ。
『え……っ』
油断してしまった。それがいけなかったんだ。
銃声が聞こえたと思い振り返ってみると、左足に鋭い痛みが。
見てみれば、脚のもも辺りを撃たれていた。
どくどくと、脈打つ音が聞こえてくる。
しかも、歌詞さんがせっかく用意してくれたワンピースにも血が付着している。
動けないほどではないけど、痛みは残っていて。
これじゃあ、歌詞さんに怒られちゃうかな。
「おい」
脚の方に気を取られていると、いつの間にか近付いていた男。
仕方ない。これは、大人しくさせなくちゃいけない。
『少々手荒な真似を取りますが、申し訳ございません』
別に私の中に、お客様は神様だ なんて考えはないから。
一度断りさえ入れたら、行動に移らせてもらう。
ぱんっ。
先ほど男が撃ったものとはまた少し違う音。
渇いた音が響いた。
この音だけで分かるけど、銃の値段はきっと向こうの方が高い。
どうせまた、騙し取ったりして得たお金を使っていると思うけど。
さすがに客の本体を傷つけてしまうのは悪いから、
手元を狙って銃だけを弾き飛ばす。
「俺の銃が……!」
命は助けてあげてるんだから、感謝してほしいくらいなのに。
まぁどちらにせよこのままだとうるさいから、手刀で意識を飛ばす。
軽く背後にまわっただけなのに、全然身動きが取れていない。
武器に頼らなければ何もできないなんて、やっぱりその程度か。
ひとまずこの客をステージの方へ連れていくべく、担ぎながら歩いていく。
この人、妙に重いんだけど。
私は足が痛いっていうのに……。
気のせいか、足元もフラフラしてる気がするし。
そんな事を考えていたら、途中で石につまずいた。
普段の私ならそんなヘマはしないはずだけど、結構脚に来てるのかな。
やばい。
そう思った時には、もう身体は前に倒れかけていた。
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「A!!」
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作楽 - 面白いです・・・!続き、楽しみに待ってます!! (2015年1月18日 15時) (レス) id: 3feb68ee3f (このIDを非表示/違反報告)
みーや(プロフ) - 灰猫ノン@ETA静岡1101参戦!!さん» すみません!確認不足でした! (2014年10月19日 0時) (レス) id: 133eb42d85 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫ノン@ETA静岡1101参戦!!(プロフ) - みーやさん» えっと、灯油さんは出させていただいているので……優さんも、という事ですかね?了解です!! (2014年10月19日 0時) (レス) id: 1fdc1852b6 (このIDを非表示/違反報告)
みーや(プロフ) - あの、葉月兄妹って出せますか?(葉月 優、灯油) (2014年10月19日 0時) (レス) id: 133eb42d85 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫ノン@ETA静岡1101参戦!!(プロフ) - かふぇさん» コメありがとうございます!更新頑張ります!! (2014年10月13日 22時) (レス) id: 1fdc1852b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灰猫ノン | 作成日時:2014年10月12日 1時