めぐり愛の季節 (ページ6)

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「もう北山さん全然来てくれないから！
新作のＤＭ届いてるでしょー！？」

元気に接客をしてくれるのは店員の二階堂くん
とても上手に俺に合う服をチョイスしてくれる

「ほら、これとかさ、ね！！
ぜっったい似合うと思って取り置いてたんだよね！」

「え、なに、それ強制的に買えってこと？」

「うわ！ひどいなー、北山さん！
俺、そういうことしないでしょ！」

表情をコロコロと変えながら
話す姿に思わず微笑む

「わーかってるって！
これも買わせていただきます」

「なにそれー」

「ははっ！」

よく考えたら二階堂くんだって
友達でも会社の人でもない
なんでこんな距離感になったんだっけ？
接客業の成せる技？
始まりを思い出せなくて
レジ打ちをする二階堂君をじーっと見つめた

「ちょっと、北山さん
やめてもらえます、その目…」

「え？」

「ちょっと下から見上げるのやばいっすよ？」

「は？」

「無自覚っ…こっわ！」

何の事を言っているかわからないまま
洋服でいっぱいになった
ショップバッグを店の入り口まで持ってくれた
二階堂くんに別れを告げた

久々のショッピングは思いのほか気分が良く
ぐーーーと鳴り響く腹の音で
昼飯を忘れていたことにやっと気付いた

お洒落な外装が目に止まり
吸い込まれるように店内へと入る
こんなところにあったっけ？
と思いながら、案内されるままに窓側の席に座った

荷物を向かいに置き一息つく
少しできた時間の隙間
思い出すのはやはり太輔のことだった

「何してんのかなー…」

俺、乙女かよ！
もやもやを振り払うように
呼び出しボタンを押し
カルボナーラを頼んだ

全く俺も困ったもんだと
自分に突っ込みを入れ
カランと鳴った入口にふと目線が流れた

「え…」

そこには間違いなく
先ほどまで
想いを巡らせていた相手が…