秘められた恋が叶うまで【G's】

証拠 ページ39

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感じたままに佐野さんに伝えてたのに
佐野さんは黙って全部聞いてくれた






『佐野さん、音楽なくたってかっこいいです。今の、きっと誰にでもできることじゃない』


玲｢…ありがと｣


『いえ、お礼なんて…お礼？…っ、佐野さんがお礼言った！？』


玲｢おれだってお礼くらい言えるわ、ばーか｣






ばーか、そう言った時
わたしの前で初めて心の底からの笑顔を見せてくれた

みんなには見せてた笑顔
それが今、わたしの前にある

佐野さんはわたしの前に座って
その笑顔のまま






玲｢…お前に見せてよかった｣






と目を見て言った

すごくきらきら輝いてて
本当に佐野さんはダンスが好きなんだって
感じることができた






玲｢昨日久々にダンスの話したらさ、なんか踊りたくなって。お前ならついてきてくれんじゃねーかなーって思って連れてきたけど正解だわ｣


『いいもの見ました』


玲｢亜嵐くんの練習なんかより何倍もいいっしょ｣


『それは…亜嵐くんのを見てみないと』


玲｢ふはっ…、そこはおれのがいいって気遣えよ｣






最初はあんなに冷たかった空気が
まん丸くなった気がする
わたしに対して向けてた敵意みたいなものがなくなってくれたのかな

そうだったら…うれしいな






玲｢しゃー、今日も午後からバイト頑張ろ｣


『…ほんとにダンス、仕事にしないんですか？』


玲｢言ったじゃん。できないんだって｣


『ダンスは音楽を使うもの、なんて…誰が決めたんですか？できること、きっとあるはずです。それを知らないまま、佐野さんがダンスを辞めるなんて…もったいないです』


玲｢…｣






しばらく佐野さんは鏡に映る自分と目を合わせて
何かを考えているようだった

どうするかは佐野さん次第だけど
わたしは、佐野さんにはダンスをしてて欲しい
きっとあの家のみんな、GENERATIONSのみんなも
そう思ってるはず






玲｢…ちょっと待ってて｣






不意にそう言うと受付の方に歩いていった
わたしも鏡に映る自分を見て
昨日のことを思い出す
仕事を一生懸命してた裕太くん

…インタビュー、答えに行けばよかったな
みんな違う場所で頑張ってる
変な感情なんて無視して、裕太くんのところ行けばよかった






玲｢リュウセイさん｣


リ｢んー？｣


玲｢…おれでもできること、なんかありますか｣






佐野さんの声が聞こえて、胸が熱くなった
ちょっと不安そうな声だったけど
佐野さんが一歩前に進んだ証拠




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