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 「お前が死んで幸せになる人ももしかしたら本当にいるのかもしれない、だけど悲しむ人だっているんだろ!じゃあそんな悲しいことを自分で言うなよ!」

 いるのかな、とAは考えた。最初に兄を、そして両親を思い浮かべた。
 兄はどうだか分からない。きっと、花くらいは手向けてくれるだろう。
 両親は、邪魔者がいなくなったとせいせいするだろう。家の跡継ぎは兄がすればいい。兄の補佐は、誰かやってくれる人がいるだろう。何せ、そういう家だ。Aももう知っている。

 「……」

 「***、A」

 一通り叫んだレオが口を閉じ、Aが黙っていると、おずおずと千秋が口を開いた。

 「その……だな。今回の黄泉戸喫がどう影響するのかは知らんが、少なくともAは今は死にはしない。それは俺が保障する。もう少し成長したAと俺が出会った過去が、こいつにとっては未来だが、たしかにその事実は存在するからな」

 「あれ、貴方たちは一緒に来たんじゃなかったんですか?」

 つむぎが尋ねた。

 「いいや、違うよ。僕と千秋は一緒の時間から来ているけど、Aちゃんは僕たちの来た時間よりも過去から来ている。それに、僕たちは見た目が中3だけど、中身は高3なんだ」

 「そうなんですね。俺たちは名実ともに18歳です。学校かぁ……俺には憧れの場所ですよ。縁がありませんでしたから」

 「……」

 英智と千秋は顔を見合わせ、それから互いに顔を逸らしてしまった。

 「えっ、どうしたんですか?」

 「ごめんねつむぎ、聞かないで貰えると嬉しいかな……」

 「俺も遠慮させてくれ……」

 「えっ?えっ?」

 つむぎはきょとんとした様子だったが、二人の様子のおかしさに、結局それ以上学校についての話題を続けるのはやめておくことにしたらしい。

 「あれ、あれ、見てください。あれ苹果じゃないですか」

 ふと外を見たAは声を上げた。

 「どれどれ?わあ、本当だ」

 川下の向こう岸に大きな林が見え、その枝には熟して真っ赤に光る大きく丸い実がたくさんなっていた。その林のちょうど真ん中にひときわ高い三角標が立ち、森の中からは何ともいえず綺麗な音色がとけるように風にのって流れてきていた。ちょうどその時レオがふんふんとメロディーを口ずさんでいたのだが、不思議なことに、森から聞こえる音色はレオの口ずさむメロディーと全く同じなのだった。

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Chris(プロフ) - 冬枯さん» コメントありがとうございます。嬉しさで机殴りながら返信打ってます(だって初コメ……初コメ……!!)。遅々として進まない筆で申し訳ありませんが、少しずつでも更新してまいりますので今後もお楽しみいただければ幸いです。 (2020年8月21日 20時) (レス) id: 313ba381d4 (このIDを非表示/違反報告)
冬枯(プロフ) - 楽しく読ませて頂いております!自分も友達から勧められ、新シリーズから始めた者です。流星の篝火は無理です。本当に無理。良い話すぎて泣きます。良さの反動と言えど、文を紡いでいくのはすごいと思います!これからも更新楽しみに待ってます! (2020年8月21日 19時) (レス) id: ec10afebdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Chris | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/chrisinfo/  
作成日時:2020年6月13日 0時

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